• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

中国の政権交代と政法委縮小論=孟建柱は二階級特進できるのか?(水彩画)

2012年07月14日

■孟建柱さんと政法委■

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年7月14日付記事を許可を得て転載したものです。


on guard
on guard / AndEggs

■二階級特進なるか?!孟建柱株急騰中

今秋開催される十八大(中国共産党第18回全国代表大会)で、中国は胡錦濤体制から習近平体制へと移行します。トップが習近平になることは決まりですが、最高指導グループである中央政治局常務委員がどのメンツになるかが焦点です。

以前からダークホースと言われていたのが孟建柱さん。中央委員でありながら政法委副書記を兼任しており、政治局委員を飛び越して二階級特進、常務委員入りするのではとの噂が絶えない人物です。現政法委書記の周永康が薄熙来の後ろ盾と指摘され、その地位が危ぶまれた頃から露出が急増しています。

政法委系統で見ますと、トップの周永康はいずれにせよ今年で引退するのが確定。政法委副書記の王楽泉はウイグルでやらかして常務委員入りは絶望的なので、こちらも今年限り。となると、三番手の孟建柱が後継になる、というのが有力なのです。既に政法委の実権は孟建柱に移っているとする報道もありましたしね。


■政法委縮小論

一方で、あまりに強大になり過ぎた政法委を縮小しようとする動きも広がっています。

例えば、これまで各地方自治体の政法委書記は公安局長が兼任する事が多かったのですが、現在では副市長が兼任するケースが増えています。警察と司法を握る政法委だけに、ある裁判の結果をひっくり返すような強権もしばしば見せています。司法関係者からは公安と司法を切り離すべきではとの声も上がっています。政法委の権力を分散させるべきと考えているのは、胡錦濤だけではないのです。

現在、政治局常務委員は9人いますが、十八大で7人に縮小される可能性が取りざたされています。仮にそうなれば宣伝部と政法委が常務委から外されると見られていますが、政法委縮小論はそうした噂に信憑性を与えるものです。

実際のところ、孟建柱が二階級特進する可能性はほとんどないでしょうが、常務委員の一歩手前、政治局委員に昇格した孟が権限を縮小された政法委のトップに立つというシナリオは十分ありえます。


■喬石の回顧録

この動きを後押ししているのが、先日出版された元政法委書記・喬石の回顧録であります。喬石は1992年まで政法委書記の地位にありました。回顧録から書記在任当時、法制建設に努力した云々という部分の記述が、人民日報、そして政法委の機関紙である法制日報に転載されています。

昔の偉い人の自慢話が大々的に宣伝された、というだけの話ではありません。中国ではこうした動きに政治的意図が込められているのが常。喬石回顧録の掲載は、力づくで社会問題を押さえ込む現在の政法委を批判しているのでは、と見られているのです。


■治安維持費削減と政法委強大化にタイするブレーキ

また膨れあがった治安維持費も問題です。例えば、今年4月、陳光標事件が起きましたが、陳の監視と軟禁に巨額の予算がつぎ込まれていたと陳光誠自ら明かしています。治安維持費をカットするために政法委の権限縮小に向かっているのではとも考えられます。

先月から北京では市、県級の新任公安局長、庁長に対する短期集中研修が始まりました。孟建柱自ら講師となり、「いかに法制の軌道の中で権力を行使し、規範的に法を執行するか」をテーマに熱弁を振るったとされます。薄熙来のクビが飛んだ途端、法を無視するなど行き過ぎた打黒にブレーキをかける動きが見られましたが、同じ事が公安全体でも起きているのです。

実際に改善されるかどうかはともかく、そうした動きがあるのです。これまで滅茶苦茶やってきた政法委、そしてその中心であった公安を大人にさせる狙いがあるのでしょう。


■孟建柱の外交デビュー

人民網に孟建柱のラオス、ミャンマー、タイを歴訪した特集ページが掲載されています。この後、12日に韓国を訪問していますが、中国の指導者を外交に慣れさせる手順に似ています。

その手順とは、まず北朝鮮を訪問。次にアジア周辺諸国、アフリカと来て、日本とヨーロッパ、最後にアメリカという順番です。北朝鮮は昨年の旧正月辺りに訪問していますし、党大会を控えついに外交デビューしたと考えても間違いはなさそうです。

と、孟建柱さんをageてみましたが、果たしてどうなるのか。当たるも八卦、当たらぬも八卦ということで。

関連記事:
脱出した盲目の人権活動家・陳光誠が明かした監視と暴力に苛まれた日々=ビデオメッセージ全文―中国
中国共産党人事のダークホース・孟建柱=官制報道にみる序列上昇(水彩画)
「共産党の腐敗はひどい」上海市トップの“本音”発言の意味―中国コラム
【中国斜め読み】多維網が予想する「中国の次期支配者9人」予想改訂版(ujc)
チャイナ・ナインの一角・周永康の失墜=中央政法委の解体もくろむ胡錦濤(水彩画)

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年7月14日付記事を許可を得て転載したものです。    


トップページへ

コメント欄を開く

ページのトップへ