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「人権派弁護士・地下宗教・異見人士・ネットリーダー・弱勢群体」が米国の先兵になる―人民日報

2012年08月01日

「人権派弁護士・地下宗教・異見人士・ネットリーダー・弱勢群体」が米国の先兵になる、と人民日報海外版掲載の論文が指摘。話題となっている。


Patriotism
Patriotism / Snow Kisses Sky


人民日報:中国の本当の挑戦は今後5年から10年の間に迎える
中国現代国際関係研究院美国研究所所長:袁鵬
人民日報海外版、2012年7月31日

 中国は発展の戦略的チャンスに自信を持つべきだが、しかし自国が挑戦する課題がどこにあるのか、十分に認識する必要がある。実際のところ、中国の本当の課題は目前のものではなく、今後5~10年間の問題である。本当の課題は国際情勢、近隣情勢ではなく、国内の体制変革と社会状況にある。本当の脅威は軍事衝突ではなく、金融、社会、ネットワーク、外交などの非軍事的問題である。

(…)(今後3~5年、)この時期に米国はさらに多くの非軍事的手段を使って、中国の台頭を妨害し、戦略的利益を求め、国力の再興を狙い、覇権的地位を確保しようとするだろう。その主な手法とは以下のとおり。第一に人民元レート問題を突破口とし、金融保険市場開放を段階的目標とする。全面的に中国の第三次産業に参入することで、中国の発展の命脈を握ると同時に、巨大な経済的・金融的利益を奪い取ろうというものである。

第二に「ネットの自由」を口実として、「上から下へ」と民主と自由を推進する中国の伝統モデルを変えること。人権派弁護士・地下宗教(非公認宗教)・異見人士・ネットリーダー・弱勢群体(弱い人々)を中核とし、「下から上へ」の方式を中国基層社会に浸透させようとする。それにより中国の「改変」の条件を作り出そうというものである。

第三。同盟国との関係を強化し、中国と北朝鮮・パキスタン・ミャンマーとの関係を引き裂き、米ロ関係の再強化などを通じて、中国の外交を受動的な立場に追い込もうとするもの。中国台頭の外部条件を弱め、中国台頭の戦略空間を狭める狙いを持つ。また「海、空、宇宙、ネット」など「地球的公共空間」の問題について、中国と対話し、ルールを定めることで、上記分野における中国の挑戦を実質的に弱めることを狙っている。

環球時報に載っていそうな、「ボクの考えた米国の陰謀」といった体の論文だが、「「上から下へ」と民主と自由を推進する中国の伝統モデル」という言い回し、「人権派弁護士・地下宗教・異見人士・ネットリーダー・弱勢群体」が米国の先兵になるという画期的な発想が面白かったので紹介した。

RFIによると、ネットではこの論文の深読み大喜利が開催されているとのこと。主に2つの解釈があるという。第一に、欧米の中国を滅ぼそうとする考えは消えていない。「和平演平」(平和的な体制転換)に対抗するイデオロギーを強化し、海外を警戒するべき、というのが一つ。

もう一つの解釈は「人権派弁護士・地下宗教(非公認宗教)・異見人士・ネットリーダー・弱勢群体(弱い人々)」が中国を変える突破口になるということは、「法治、信仰の自由、政治の自由、言論の開放、社会正義」を目標に、中国が穏当な社会改革をするべきという読み。後者はいくらなんでも深読みにすぎるように思われるが……。

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