中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年08月03日
DSC_0266 (2) / apiachun
先月下旬、3回ほど江沢民の名前を目にする機会がありました。
丁関根同志の遺体、北京で火葬(新華社、2012/7/28)
まずは葬儀。江沢民時代に宣伝部門のトップを勤めた丁関根が亡くなり、葬儀が執り行われました。江沢民は出席せず。ここ数年の慣例どおり花を贈ってお茶を濁すプレーです。これは想定内でした。
江沢民、『簡明中国歴史読本』序文担当 中華民族の発展史を高度に重視(新華社、2012/7/30)
続いて江沢民の名前が出てきたのが、歴史解説書の序文を担当したというもの。「全党同志、特に指導者幹部は自覚して歴史を学習し」という超上から目線が目を引きます。中華5000年の歴史とはいうものの、本当に学んで欲しいのは改革開放以降の「歴史」、江沢民が総書記として過ごした1989年から2002年も含まれているわけです。
そういう事を江沢民に書かせざるを得ない胡錦濤のしかめっ面が目に浮かぶと共に、相変わらず江沢民がめんどくさそうな存在であることが分かります。「お前らはオレが在任してた時に、ハイパー発展した中国の歴史をちゃんと思い出せよ」と言っているのも同じかと。
災害処置、突発事件対応能力を高めよ(揚州日報 2012/7/24)
そして一番驚いたニュースがこちらになります。
7月20日に江蘇省揚州市で地震が発生しています。マグニチュード4.9、死者1人と大した被害は無かったのですが、ここ20年間では最大規模とあって揚州市委書記の謝正義書記が24日に常務委拡大会議を開催しています。
その際に中央の首長、上級機関である江蘇省委と省政府が関心を寄せていると告げると共に、「江沢民同志が自ら電話で連絡し、地震に関心を寄せている」と言ってきたというのです また、江沢民は「揚州の処置工作に肯定的な評価をし」、「揚州市が省委、省政府の直接の指導下で今後の工作を更に上手くやるよう希望した」と話したそうです。
「專門」とありますから、秘書にかけさせた訳ではなく、自ら電話を取ってある程度省指導者と話せる程度の健康状態と判明したばかりか、依然として「お前らよくやった」と評価を下せる立場にあるようです。
揚州は江沢民の生まれ故郷ですから、個人的にだけでなく政治家としても注目している姿勢を見せなければならないのは分かりますが、江沢民というのは案外バカにしたものでもないのだなと思い知った次第であります。
関連記事:
江沢民、またまた健在ぶりをアピール=外交官僚向け書籍に寄稿―中国(水彩画)
江沢民が新聞、テレビで健在をアピール=次期人事介入への野心めらめら?!(水彩画)
第二の「江沢民死去」誤報?!読売のスクープが危険で危ない件
【中国斜め読み】江沢民が習近平を認めた理由、拳で語り合う官僚たち(ujc)
薄熙来失脚を狙う罠、黒幕は江沢民の政敵か?体制外メディアが報じる中国の政争(水彩画)
*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年8月2日付記事を許可を得て転載したものです。