中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年08月04日
北京大学 Peking University / R Ryan_xm
日本の大学では予算をいかに獲得するかと同じく、予算をいかに使い切るかも悩ましい問題。認められた計画に合わせて、会計年度中にかっちり使わなければならない。ニセ発注や人件費の召し上げなどのブラックな手段を使ってプール金を作るケースもあったようだが、ばれれば大事になってしまう。
予算の問題で頭を悩ませている日本の大学関係者から見ると、中国の大学は天国に見えるかも知れない。
山東省会計庁は青島大学、山東中医薬大学、元山東経済学院、元山東財政学院の4校の2011年科学研究経費、計2億4700万元(約32億1000万円)の監査を実施した。特に2008年にスタートした363の縦向課題プロジェクト(国や省の基金から研究費を支給されるもの)、65の横向課題プロジェクト(提携企業から研究費を支給されるもの)が重点監査対象となった。
363の縦向課題プロジェクトのうち、291がすでに終了していたが、予算執行率が50%を下回ったプロジェクトは83を数えた。2011年末時点の数字で、余剰経費のある終了プロジェクトは175。余剰経費は計563万元(約7320万円)に達していた。この175のプロジェクトでは合計で予算の33.4%しか執行されていなかったという。そればかりか、ほとんど経費を使っていないプロジェクトもある。12のプロジェクトでは2.5~10%の管理費を使っただけで、残る資金はすべて放置されていた。
ムダ遣いをしない研究者の鑑と讃えてもいいのかもしれないが、実際はというと金だけもらってプロジェクトは何もやっていないだけ、ということなのだろう。
また使っていないだけではなく、ありえない予算の使い方も明らかとなっている。あるプロジェクトでは出張旅費名目で、中国各地から黒竜江省ジャムス市までの片道鉄道切符が1505枚、28万3600元(約369万円)分も購入されていた。全プロジェクト予算の約半分がジャムスまでの片道切符だったという。1505人の研究者がジャムスを訪ねたまま帰って来ない……わけではなく、切符を買って後でキャンセルして現金に換えてものと思われる。
それにしても省の監査が入るまで野放しということは学内では一切監査をしていないのだろうか。恐るべし、中国。
以前、知り合いの中国人院生に「偉い大学教授になりたいです。だって研究費で自宅の冷蔵庫だって買えるんですよ!」と力説されたことがあったが、あながちウソではなかったのかも……。
関連記事:
米州立大学で「ディプロマ・ミル」問題発覚=不正入学学生の大半は中国人
「香港人は犬畜生」天安門事件参加者から北京大学教授になった男の「暴言」―中国
大学が舞台の日本アニメって少ないのはなぜ?もう青春じゃないの?中国人オタクの疑問(百元)
大学入試前日は何していた?中国オタクの過ごし方―中国オタ事情
ダマしてでも優秀な学生を手に入れろ!大学同士の仁義なき戦い―中国