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2012年08月13日
今年1月6日、南京市で起きた強盗殺人事件が中国全土で話題となった。銀行から金を引き出したところを銃撃して殺害。金を奪って逃走するという手口だ。犯人は2004年以来、重慶市や湖南省、江蘇省で殺人事件を起こしてきた凶悪犯。「銀行に行くのは怖いからヤダ」という社会現象が起きたと報じられたり、あるいは各地の警察がかけた懸賞金が100万元(約1300万円)を突破したと話題になったりと、話題の的になっていた。
(関連記事:南京の強盗殺人事件=犯人は元武警上がりの連続犯、100万元の賞金首だった―中国)
そして8月10日、今度は重慶市で新たな犯行が起きた。手口は南京市とまったく同じ。銀行を出てきたところを銃撃して殺害。金を奪って逃走するというものだった。共通の手口から南京市と同一犯ではないかとの噂が広がり、ついに警察もこれを認めた。1年の間に2回も凶悪事件を引き起こすという異例の事態だ。
警察からの公式発表が少ないだけに、メディアではさまざまな憶測記事が飛び交っている。曰く、「山狩り中に警官一人が撃たれて殉職」「いや殉職したのは2人」「警察では手に負えないと軍が動員されたらしい」……云々。
そうした混乱の中でも最たるものは犯人の名前だろう。南京市の事件後、犯人の名前は曽開貴と発表されていた。ところが今回、重慶市警察が発表した名前は周克華。どちらかが偽名なのか、南京市警察が間違えていたのか、それとも凶悪犯は2人いるのか、ひょっとして犯罪グループなのか、などなど憶測が飛び交っている。犯人の履歴も特殊部隊上がりの元軍人という話だったのが、元銃器密売商に変わっている。
新聞晨報によると、「消息筋によると、南京市警察は犯人に悟られないよう、あえて間違った名前を流したのだ」とのこと。しかし間違った名前で大量の指名手配書を作られても困るばかりのようにも思えるが……。単純に南京市警察が間違えていたのではないかと勘ぐってしまうところだ。
重大犯罪を繰り返す凶悪犯を逮捕できていないという負い目があるのか、警察からはなかなか公式発表が出てこない。逮捕してからたっぷり手柄は自慢するので今は待っておれ、ということなのだろうが、その間にもメディアとネット民の憶測・妄想話は膨らむばかりなのであった。
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