中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年08月14日
Comic Market 78 2nd day_003 / TAKA@P.P.R.S
■アニメが見たいのか、喧嘩がしたいのか
アメリカのイベントに参加された虚淵玄先生が、アメリカのアニオタの素晴らしさを感じると共に日本のオタクの現状に対しての一言を発信されたそうです。
虚淵玄「(日本のオタクは)アニメが見たいのか喧嘩がしたいのか、一体どっちなんだ」(くまニュース)
虚淵玄(@Butch_Gen)さんの日本とアメリカのオタクの違いについて まとめ
ありがたいことに、この件に関して「中国オタクの間でこの発言の反応はあるのか?」「中国オタク内ではオタク同士の喧嘩のようなモノはあるのか?」という質問をいただいております。
ちょうど中国オタク内でもこの発言が話題になっているようなので、今回はその辺についてのやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
■中国人のオタクの議論
アメリカのイベントに参加した虚淵玄が、アメリカのオタクに感動して日本のオタクを批判している。ただ……正直持ち上げ過ぎなような気もする。海外のオタクでも日本のような衝突って珍しくないような?
確かに日本のオタクの壮絶な争いはこっちにも聞こえてくるね。個人的には「かんなぎ」のヒドイ争いが印象的。でもウチの国のコミュニティもそうだし、英語系のコミュニティを見てもオタ同士の争いって無いわけじゃないよね。
これってサービス込みの発言なんじゃないか?言ってはなんだがゲストとして招かれたスターがよくいうセリフに思える。
残念ながら、世界的に「最萌えトーナメント」的な戦いがわりと頻繁に行われているのをみると、自分の好きな作品やキャラに関して上下関係付けたがるのはオタクの本能ではないかと思えてしまう。
英語系のフォーラムなんか見ても普通に荒れたりしているし、他者に対して優越感を持ちたいと思うのがオタクの基本的な行動パターンなんじゃないかと思えてくるわ。
そりゃあ、イベントだったらそうなるでしょ。イベント、しかも虚淵玄が来るような場所で揉めたりゴタゴタ起こそうとするなんてことは誰もやらないよ。てか、ウチの国にも来て欲しい!あの人がスバラシイ文化を発信しているのはウチの国のオタクだって知っている!
ちょっと不思議に感じたのは「日本だと、イベントを居心地良い場所にすることより、目当ての本を手に入れる方が優先って連中がどれだけいることやら」って発言かな。俺は日本のコミケに行った時のスタッフや一般参加者の態度に感心したんだが。ウチの国ではイベントの参加者はチケット買っているのもあってか自分が「客」と思っている人が多すぎるから、余計にそう思ったのかもしれないけどね。
日本のイベントはそんなスゴイ争いになってるの?私は国内のイベントにしか参加したことがないので、どうも想像できないんだけど。
日本のイベントは非常に多くの同人誌や限定グッズが出るから物欲への刺激が凄まじいし、それを巡ってのモノスゴイ闘争が行われるのは確かだね。コミケなんかでは開場直後に地鳴りと共に暴走する人の群れが押し寄せる。以前コミケにサークル参加した時は自分のサークルの場所の近くの通路がその人の群れの移動ルートになり、正直かなり怖かった。あんな状況なのに致命的な問題を発生させないコミケの管理体制は凄すぎると思う。
自分が不思議に感じたのは、アメリカのオタクが「マイノリティであることを惨めだなんて微塵も思ってない。誰もが自分の愛するものに確固たる自信を持ってるから、他の誰かが自分を否定してるだなんて考えもしない。防衛本能で刺々しくなることもない」と称賛している所かな。日本のオタクってなんでそういう防衛本能を持っているのだろう?アニメも一種の趣味や文化なんだし、そんなに気にするもんでもないと思うが。
日本以外から見れば日本のアニメや漫画って「海外文化」だからなぁ。輸入モノの文化ってクールだと誇り易いし……正直、この辺の日本のオタクの歴史を体験している日本のオタクの感覚は、俺達には理解しきれないんじゃないかと思ってしまう。残念だが。
こんな発言が出て来るとは、「愛の戦士」も最近疲れているのかな……
オタク業界のトップを走っている人だし極端な例やイヤな所が特に目に入るんだろうね。「自分達のコミュニティを守るために、きちんと考えて行動する人間」以外の、自分の利益を優先する人間は必ず出るし、問題はそういった人間にどれくらいの頻度で接するかだと私は思う。
てか、海外だとマイノリティだし社会的な圧力が無いから「コミュニティを守るために考えて行動する」必要はあんまりないんだよね。以前日本のオタクと話して彼らが「オタク関連のコンテンツやコミュニティが社会的に抹殺される危険性」を強く認識していたのには正直驚いた。日本はオタクコンテンツの発信元だし、社会的に抑圧の対象とされてきたから、オタク関係者もそういった問題に関して敏感にならざるをえなかったんじゃないかな。
人が少なければ団結する、人が多くなれば上下を巡る争いが必ず起こるってこともあるんじゃないかと。
ネットで見た限りの感覚ではあるが、海外だからってそこまでオタクの質が変わるとは思えないんだが……日本ではオタクの絶対数が多いから、虚淵玄に会うためには抽選や並んでの場所取りなど、他人を押しのける戦いに勝利しなければならないので、一般レベルのオタクが虚淵玄の姿を拝むことは難しいらしいね。虚淵玄が日本で見るのはそういった過激で戦闘力が高すぎる連中ばかりってのもあるのでは?
そういや、ウチの国のオタク関係のイベントではクリエイターやアーティストとの距離が日本でのイベントに比べて随分と近いらしいね。知り合いの日本人留学生のオタクが「中国に留学してよかった」としみじみと言っていたが、海外はイベントの情報さえつかめれば簡単にオタク関係の有名人の来るイベントに参加できるし、近い距離で接することができるという話だった。
ウチの国でも競争が激しいジャンルはそれなりに争いが起こっているよ。男性声優のイベントなんかではチケットの熾烈な奪い合いが行われている。チケット予約関係で揉めて分解したり絶縁状態になった女性のオタクの集団なんて、私の周りだけでも複数ある。
でも日本のオタクの連中もたいがいだと思う時は確かにあるね。あの国のオタクって作品の売り上げに細かく反応して勝敗を競うし、それによって他の作品を叩きまくるから。そりゃ虚淵玄も何か言いたくなるだろ。
売り上げは作品の評価を語る上での強力な指標だからなぁ。でも日本のオタクだけでなく、最近はウチの国のオタクもそうなっているから、なんともかんとも。
ウチの国のオタクに関しては、「自分の好きな萌えを理由に、他人の萌えを否定してはいけない」という言葉をあえて言わなければいけないということが、現状をよく表しているよね……
アメリカと日本についてはよく知らないが、ウチの国のオタクに関してはゴタゴタが絶えないのは間違いないような。オタク同士の相互理解とか、優しさというのは本当に存在するのか疑問に思えたりする。
自分の好きな作品のために他人の好きな作品を攻撃するのは、残念ながら世界的にありふれた光景だ。
えーと……その……虚淵玄先生がこんなにも感動しているのを見ると、複雑な気分になります……
うむ。自分もこの虚淵玄の発言を見た後、海外のオタクフォーラムを見ていて何とも言えない気持ちになったわ。
PCやゲーム関係のコミュニティなんかはどこも揉めるからなぁ……アニメオタクだけ平和ってことはないんじゃないかな。
ネットで紳士的に行動できるのは、たぶんエロ画像スレだけだろ。エロ画像スレでは全ての人間が紳士的に振る舞い、画像を貼ってくれる人間への感謝を忘れない。