中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年08月18日
■南方都市報の素直な称賛
保釣行動委員会の皆様による上陸が成功するやいなや、中国各紙は「英雄や!」と称賛の嵐。中国本土の保釣人士も福建省から抗議船を出港させようとしていたというが、当局に差し止められ、殴る蹴るの暴行を受けた揚げ句に故郷へと送り返されたというのにこちらにはノータッチ。中国本土の英雄も誕生していたかもしれないのに。
まあそれはさておきちょっと興味深いのが、いつもは政府批判をメシのタネにしているメディアも今回の英雄の皆様を素直に評価している点だ。
南方都市報の記事「中国人が再度、釣魚島に上陸=保釣船「啓豊2号」よ、13億人があなたの帰宅を待っている」は上陸までの敬意をたんたんと構成した記事ながら、なんとも情緒的なタイトルをつけている。もっとも最後の一文は「(上陸前日の15日、)中国語ネットでは抗議活動について熱い議論は見られなかった。より多くの人が興味を抱いていたのがネットショップの安売り戦争。この時、啓豊2号はまだ太平洋を進んでいるところだった」とちょっとひねった締め方をしている。
騰訊網の特集コーナー「今日話題」は「民間の「釣魚島防衛」をどう見るか」というタイトル。日中ともに基本的には棚上げで合意しているなか、国は動きをとることは難しい。その中で民間人の上陸は「日本の実効支配に一撃を加えるもの」と評価。結びでは「国旗を自国の領土(釣魚島)に立てることは、なんであれ、称賛に値する行為だ」と締めている。
「領土を守る行為」は中国国内の立場の違いを超えてプラス評価を受けるもの。そうした意味ではとくに片ではないのだが、いつもは一生懸命に政府批判と結びつける思考回路がやたらと素直に称賛モードになっているのが不思議だ。あまり変な茶々入れをしては炎上するという判断なのだろうか。
■正しいひねくれ政府ディスコラムをみよ!
その意味では紅網の記事「香港老头上前线,保钓后继有人乎?」(香港の爺どもが最前線に=保釣人士に後継者はいるのか?)がすばらしい。レコードチャイナが抄訳を配信しているが、「なんか画像見たら尖閣に上陸した人、髪が白いおっさんばっかりやんか」「14人のうち7人が50歳以上。60歳以上が5人」という話を枕に以下のように続ける。
情報の不足から私たちは海に出なかった中国本土、大陸の保釣人士の年齢についてはわからない。だが若者たちはますますこうした活動に参加しなくなっていると私は確信する。事実、人生にはやるべきことが数多くある。熱い気持ちだけでは長続きしない。
ただ根本的な問題は別にある。私を含め多くの人がわかってしまったのだ。某省庁(外交部)が一貫した立場を表明した裏側で、(中国本土保釣人士の出港を差し止めるなどの)消極的な行為をしている。かつては保釣運動の急先鋒であり、博士論文でも尖閣問題を扱った台湾の馬英九もうわべを取りつくろうことを覚えた。
つまり、あの地域(尖閣)はたんに政治家のゲームのコマにすぎない、と多くの人々は理解してしまったのだ。人気が低迷すると、大声をあげてみなを呼び集める。人々が不必要となれば追い払う。それだけだ。こうして民間の保釣は活力を失っていったのだ。
ところで、私も、尖閣諸島に来た人たちの年齢がかなり高く見えるのに驚いたのですが、ネットで書き込みが加熱しても、実際の行動には移さない人が中国も増えたのでしょうか?