2012年8月19日、中国各地で予告通りの反日デモが起きている。
日本料理店に乱入…中国の尖閣領有デモが暴徒化
読売新聞、2012年8月19日
19日早朝から、中国各地で始まった尖閣諸島の領有権を主張するデモは、一部地域で1000人以上の規模に拡大。
参加者が暴徒化し、治安部隊と衝突する事態も起きている。
広東省深センではパトカーを横転させ、ガラスを割るなどの破壊行為が発生。日本料理店に乱入する者も出ている。浙江省杭州では、すし店やラーメン店のガラスが割られた。
デモについて、livein_China さん wingedlove さん furumai_yoshikoさんらがツイッターで実況中継してくれている。
膨大な数だが、写真を眺めながら流し読みするだけでも雰囲気は伝わるかと。
■読み違いを考えよう
今回のデモで興味深いのは、なぜデモが起きたのかという点。日本マスコミ各社の論評では、「政権交代が近い中国はもごめごとを嫌うはず。尖閣に上陸した香港活動家は即効送り返したし、ネットのデモ情報も削除されている」という見方が有力で、デモは押さえ込まれるのではとの論調が有力だった。
なのに蓋をあけてみれば、2005年、2010年を上回る盛り上がりっぷり。この読み違いは何だったのか、をきちんと抑える必要がありそう。
可能性としては3つ。「(1)政権交代前だから素早く手仕舞いという読みは妥当ではなかった」 というもの。今の時期、中国情勢を読む際になにかというと政権交代(十八大)と結びつけてしまいがちだが、皆々様はそうおっしゃっていたとしても中国共産党内部の力学が予想通りとは限らない。
「(2)民衆の怒りパワーが予想以上だった」。これはなかなか検証が難しい問題だが、言われているほどネットのデモ情報が検閲されていなかったこと、警察隊がデモの開催自体を封じるのではなく暴徒化を防ぐような形で(失敗しているところも多々あり、だが)配備されていることを考えると、デモの許可自体はあったのでバツ。
「(3)日本との手打ちが終わっていなかった。」個人的に一番ありそうと思っているのがこれ。 日本側としては上陸した活動家を即効送り返した時点で手打ち終了と見なしていたのかもしれないが、中国メディアでは「尖閣抗議船は日本議員の活動に反発してのもの」との論評が多かった。「日本の領土を守るため行動する議員連盟」の主催する洋上慰霊祭を念頭に置いたものだ。本日朝、慰霊祭参加者が魚釣島に上陸して実際大事になったわけだが、これはイレギュラーな事件。中国側としては慰霊祭取り止めが手打ちの条件と考えていた可能性もある。
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