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胡錦濤ディスで話題となった北京日報=ついにトップが解任(水彩画)

2012年08月20日

■北戴河終了直後に北京日報トップの解任■

*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年8月18日付記事を許可を得て転載したものです。


Guangzhou Streetside
Guangzhou Streetside / Quinten Yearsley

■尖閣雑談


尖閣諸島上陸からデモまでの動きが早いですね。恐らく事前に仕込まれていたのでしょう。党大会を前に、という文言はあまり使いたくないのですが、17日に実際に南昌でデモが起きているわけですし、このタイミングで仕掛けてくるとは中々度胸があります。平日に動員できる力もあるわけですしね。

反日デモがコントロールできなくなるという失敗を1度犯しているわけですから、諸刃の剣であることは党員なら理解しているはずです。ですから、北京、上海といった大規模デモに発展する危険性のある大都市では申し訳程度に手下をうろつかせ、二線、三線都市でデモを展開するという手口は2010年と同じです。18日は西安で数百人規模のデモが展開されましたが、大した事はありません。
(*19日のデモについては中国の反日デモ実況=なぜ共産党はデモを認可したのか?【小ネタ】反日デモは盛り上がったのか?中国ネット民の反応をのぞいてみたを参照)

足の引っ張り合いで、小規模なまま終わるのではないかと考えられます。大した燃料もありませんし、時機を逸していると思います。誰が仕掛けたか、ということになりますが、資金源があって、形成不利の周永康くらいかと。理由は、わかりませんけど、誰か親切な人が教えてくれるでしょう。

楽しみは19日に取っておくとして、気になる人事異動を紹介します。


■左派推しの雄・北京日報トップの解任

梅寧華・北京日報社長、党組書記から解任(RFI中文 2012/8/17)
北京日報高層入れ替え左派社長は「言論による罪」か(多維 2012/8/16)

8月15日、北京市委の機関紙である北京日報の党組書記を務めていた梅寧華が解任され、副書記に降格となったのです。社長職はそのままではあるものの、解任されるのは時間の問題と思われます。

梅の極左っぷりは北京日報のトップとなってから顕著で、自ら文峰なる筆名で南方報系をはじめとした「右派メディア」にけんかを売りまくったばかりか、薄熙来が重慶市委書記を解任された今年3月には、胡錦濤にも手を出しています。

3月31日に発表された、「わが党最高指導者はいつから『総書記』になったのか」と題された記事は、総書記とは何かという体裁をとりつつ、

「総書記は党内最高の職務ではあるが、党の最高指導機関ではない」
「綱領と章程では、わが党は民主集中制組織による統一された集団であり、集団指導の強調と実行を重視している」
「党章には、党の最高指導機関は全人代と中央委員会である、と明確に規定されている。このため、総書記は党の中央組織にある最高機構を凌駕出来ないのだ」

と、書かなくてもいいことを書いて、北京市が党中央に公然と挑戦を挑んだ、と当時指摘されていました。薄熙来系の人間とも見なされていましたね。7月に処分を受けた経済観察報以外に、上海の東方早報や広東の新快報が揃ってトップの入れ替えという実質的な解体を受けていたのですが、伝統的に宣伝部は保守的ですし、こうした中国国内では比較的まともな新聞が処分を受けるのは当たり前のことではあります。

ただ、その対極にいる北京日報のトップが降格処分を受けるというのは、中々面白い動きです。北京日報の右派叩きと胡錦濤への挑戦は、てっきり宣伝部のお墨付きかと思ってましたが、後ろ盾だった劉淇が市委書記を解任され、後任に胡錦濤と近い郭金竜に送り込み一気に切り込んだ、といったところでしょうか。

梅寧華は1954年生まれの58歳なのですが、北京市の党代表には再選されておらず、予兆はあったようです。
なお、後任の党組書記には市委宣伝部副部長の厳力強が兼任、北京青年報の編集長である張雅賓が副社長に送り込まれています。北戴河が終わってすぐの人事異動なので、なかなか意味深です。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年8月18日付記事を許可を得て転載したものです。  

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