祭りの後、というやつだろうか。中国青年報に19日の反日デモで暴力的行為があったことをとがめる論説が登場した。
*ニコンのデジカメをクビから下げながら「日本製品ボイコット」のポスターを掲げる青年。
中国青年報の記事「愛国の熱意を守れ、だが打ち壊し・暴動には厳罰を」がそれ。もっとも大手ポータルサイト・網易では「同胞の日本車を打ち壊すのは愛国(Aiguo)じゃない、害国(Haiguo)だ」と韻を踏んだステキ・タイトルにして転載。中国のネットではこちらのタイトルで引用されていることが多い。
内容はというと、「若人の愛国の熱意と危害は称賛にあたいする。「日本製品ボイコット」のスローガンと行動は感情的ではあったが、鮮明に(抗議の意思を)表明した」とまずはほめておいた上で、本題である暴動への批判を開始する。曰く、
残念だったのは、今回も一部に「身内を傷つけ、敵を喜ばせる」愚劣な行為があった。同胞の車を壊し、同胞の財産を失わせ、同胞の心を傷つけたのだ。その愚劣な行為の写真はまたたく間に世界中のネットに広まった。愛国デモのイメージは傷つき、中国のイメージも傷を負った。あの日本右翼たちはきっと喜んでいることだろう。これほど愚かな行為は愛国ではなく、害国だ。このような「愛国」が称賛されることはない。本当の愛国者は恥ずかしく思っているだろう。
2008年4月に一部地域で起きた反日デモでも同様の醜い行為があった。事件後、学生デモ隊に混じって、石を投げ店を破壊した違法分子は処罰された。今回も警察が温情を加えることなく厳罰を 下すことを期待したい。
という内容。昨日の記事「
【小ネタ】反日デモは盛り上がったのか?中国ネット民の反応をのぞいてみた」では、ネット民の間では暴徒化した反日デモに対する批判も少なくないですよ、という話をご紹介したが、今度は胡錦濤の出身である中国共産主義青年団の機関紙・中国青年報がお叱りをしたという次第。
まあ、もっともこの手の暴力的デモの後によく出てくるお決まりの展開であるので、「胡錦濤共青団がデモをしめる側に回ったのか!」とか深読みゲームをして遊ばなければそんなに面白い話ではない。個人的に面白いのは本題の前の言い訳部分。「愛国の気持ちはエライヨー」とまず褒めたたえてからじゃないと、天下の中国青年報もお小言を言えないのだ。昨日、反日デモのネット情報を眺めていても、大手家電店・蘇寧電器が「今日は日本製品売りません!」とアピールしたりと、みなみな売国奴にならないように必死だったりする。
*おまけ1:
日本製品打ち壊しよりも琉球支配転覆だろ!中国は五つの策で尖閣を取り戻せ!財訊に載っていたコラム。暴力的愛国をディスった後、「沖縄は日本の領土ではない」と最近流行りの論を展開。琉球人民が民族自決権を行使して独立するのをサポートするべきという話に強引に展開している。チベットやらウイグルやらを考えると、民族自決権の話は御法度じゃなかろうか……。
*おまけ2:
日本製品ボイコットを公言している有名人10人ジャッキー・チェン:ボクは中国人さ。そのことは忘れない。ハリウッドでちょっと成功した日本人が米国籍を取ったなんて話もあるけど、ボクもジェット・リーもそんなことはしない。
→ジェット・リーはシンガポール国籍を取得。ジャッキー・チェンは
ニコンキャノンのCMに出ていたり……。
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