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2012年08月22日
Lhasa / watchsmart
■幸福都市ランキング
19日、ラサ市で「2012年幸福都市市長フォーラム」が開催された。席上、幸福都市ランキングが発表された。全国104都市300県の10万世帯を対象に調査したもの。
トップは開催地のラサ市。6年連続でトップ3を守る幸福っぷりを見せつけた。以下、太原市、合肥市、天津市、長沙市、フフホト市、石家庄市、済南市、銀川市、重慶市と続く。北京市、上海市、広州市の3大都市はトップ10から落選している。
調査によると、幸福感に影響をもたらす要素は収入水準との回答が55.53%でトップ。以下、健康状況(48.91%)、婚姻・生活状況(32.09%)、社会保障(28.72%)、人間関係(27.96%)、道徳規範(21.39%)、事業達成感(21.37%)、環境衛生(15.95%)、自分の性格(12.72%)と続く。
調査をもとに想定される「もっとも幸福な中国人」はというと、「大卒以上の学歴で、世帯収入は年10万元(約130万円)超。既婚。1日に4時間以上自由な時間があり、ネットやテレビ、ショッピングなどに使っている。去年、車と家を購入。みなにうらやましがられている」というものだという。
■幸福にさせられた
収入水準が幸福感にもっとも大きい影響を与えると回答されているのに、幸福都市1位は上海でも深圳でもなく、ラサというのが不思議なところ。なにせ「幸福都市市長フォーラム」で発表されたランキングなので、市長が出席してくれる都市がランク入りしただけなのではと疑ってしまうが、中国ネット民の間でも「おかしくね?」との声が続出。
「被幸福」(幸福にさせられた)と書き込んでいる人が多い。「被**」(**された)とは中国のネット流行語。大学の就職率調査を良く見せるために本当は仕事がないのに統計上は「就職させられた」り、あるいは中国政府に「自殺させられた」「失踪させられた」というように使う。
というわけで、ちょっと実感とはかけ離れた幸福ランキングは、お上に「幸福にさせられた」ということになる。
■チベット人がうらやましい?!
で、1位がよりによってチベットかよ、と誰もがツッコミたくなるところ。RFAがこの点にがっつりツッコミを入れている。チベット亡命政府の議員は、ラサは厳戒態勢で、可証を持たないチベット人はラサから追い出されているわ、街は監視カメラだらけで窓の数よりカメラのほうが多いほど、これで幸福って無理。ただのプロパガンダでしょ、とコメントしている。
ちょっと面白いのがラサ在住の漢民族2人のインタビューだ。「チベット族はチベットの祝日に休めるけど、漢民族は休めない。だからチベット族は毎日毎日お休み状態だよ!ポタラ宮やジョカン寺もあるし、宗教の伝統もあるし、漢民族よりもチベット族のほうが絶対幸福っしょ」とねたみを爆発させている。その一方でラサの漢化が進み、以前の雰囲気はもうないとも認めているのだが……。
「幸福にさせられた」と騒いでいる漢民族のみなさんも、ことチベットに関しては「あいつら優遇されているし、宗教もあるし、本当に幸せに違いない」と納得している人も少なくないのかもしれない。
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