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2012年08月30日
2012年8月26日午前2時40分(現地時間)、陝西省延安市の高速道路で、寝台バスがタンクローリーに追突、炎上する事故が起きた。36人が死亡する惨事が注目を集めている。そうしたなか、ネット炎上事件が起きた。
問題となったのはこちらの写真。現地でネット民が撮影したものだという。報告を受けているとみられる官僚がにこにこと笑っている姿が中国ネット民の神経をさかなでにした。即効で人肉捜索(ネット民の協力で個人情報を特定すること)され、陝西省安全生産監督管理局の楊達才局長と判明した。
ネット民はさらに人肉捜索を続行。今度は楊局長の「高級時計コレクションすごすぎ!」疑惑が浮上した。
視察や座談会での写真が検証されたのだが、上記のとおり楊局長はいろいろな時計をお持ちであることが明らかになった。
この写真を見た高級品販売サイト・第五大道の孫多菲・最高執行責任者(COO)は「1枚目の写真はローレックス、6万5000元。2枚目は4万元ぐらいのオメガ。3枚目はヴァシュロン・コンスタンタンで20~40万元ぐらい。4枚目はオメガで3~4万元。5枚目はラドーで3万元ぐらい」と鑑定。さらに燃料を投下している。
法制晩報は「この1枚の写真では本当の状況はわからない」と擁護する論調だが、現実的には疑惑を紹介する記事内容。楊局長にとってはとどめの一撃になっているような印象も。
官僚が吸っているタバコや身につけているブランド品、高級時計が鑑定されて炎上するというのは常。まあそれなりの地位にいる人は大多数がこの手の贈答品をもらっているはずだ。中国には「灰色収入」(賄賂とまでは言い切れないグレーゾーンの収入)という便利な言葉もあり、「ちょっともらっただけ」「誰かが息子にプレゼントして、その後で息子がくれた」「なんか講演したらもらえた」などなどステキな言い訳も用意されている。
とはいえ、普通のお給料では絶対に買えない高級品を、公の場で身につけていることはそれだけでリスクと言えるかもしれない。というわけで、高級時計をみすぼらしく見せるカバー、タバコの銘柄がわからなくなるタバコケースなど、官僚向けリスク回避グッズの開発が待たれている。
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