中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年08月30日
IMG_6887 / 荞麦故事
丹羽宇一郎・駐中国日本大使の公用車が襲撃され、車についていた日本国旗が奪われた事件が注目を集めています。29日、中国外交の大立者にして中日友好協会会長の唐家璇が「大変失礼で無礼なことをした」と謝罪したと日本メディアは報じました。ですが、中国の報道と比較すると、そこには大きなずれがあるのです。
まずは日本側の報道を。
丹羽大使の車襲撃は「大変失礼」 中国前国務委員日本経済新聞電子版、2012年8月29日
中国の唐家セン・前国務委員(元外相)は29日午前、北京市内で講演し、丹羽宇一郎駐中国大使の公用車襲撃事件について「大使に大変失礼で無礼なことをした」と謝罪した。容疑者については「決して愛国者とは言えない。愛国的行動ではなく(中国の国益を害する)『害国者』だ」と批判した。
唐家璇 、日本大使車両の国旗引き抜き事件を語る=理性的な愛国的行為ではない人民日報、2012/8/29
唐家璇は27日に発生した、「丹羽宇一郎・日本国駐中大使が乗車した車両が遮られ、国旗が奪われた」事件について、理性的で愛国的な行為ではないと指摘した。
唐家璇は、「この種の行為は中国の広範な民衆の願いと考えを代表していない。絶対多数は理性的で、中日関係の健康的な友好発展を願っている。現在、中国の関係部門が調査中である」と指摘した。
唐家璇、釣魚島問題を語る=「もし日本が固執し続けるならば、自らを「袋小路」に追い込むだけだ」人民日報、2012/8/29
中日関係の新しくで古い問題がヒートアップしている。魚釣島問題で日本側は消極的な動向を続け、中国民衆の強烈な憤慨を招き、両国関係に深い妨害をもたらした。日本政府が事態悪化を回避する態度を取らず、一方的に自身の考えを中国に押し付ければ、自身を袋小路に追い詰めるだけでなく、事態は悪化し、収拾不可能になってしまう恐れもある。
日本国内の一部の勢力は中日関係の順調な発展を目にしたくなく、釣魚島問題で民意の対立をあおり、 個人のために政治的なよりどころを奪おうとしている。彼らの思い通りになれば、釣魚島問題は制御不能になり、争いは止まず心休まる日は永遠に来ないだろう。
中国側の主張は一貫して明確であり、その意思は曲がらない。釣魚島とその島嶼はこれいより中国の領土であり、歴史的、法的に反論の余地は無い。日本側のいかなる勝手な行動も違法、無効であり、徒労に終わる。釣魚島の主権が中国に属するという事実は変えられないし、中国人民の主権を守る意思は揺らがない。
領土問題はどの国家でも高度に敏感であり、民族感情に影響を与える。世界の外交史を見ても、領土問題は衝突では解決はしない。冷静に、理性的な態度で対話をするのが問題解決の根本的な手段だ。
政府高官や学者を含む日本の知識人は、日本政府に現実を制止し、理性的な声を重視し、対話による問題解決という正確な軌道に戻るよう呼びかけるべきだ。
日本政府がそれを避け、一方的な自身の考えを中国に押し付ければ、日本自身が袋小路に入り込むだけでなく、事態は悪化し、収拾不可能になるだろう。中国側はそのような局面は望んでいない。