中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年08月31日
2012年6月、中国でもっとも売れている辞書「現代漢語詞典」の第6版が出版された。多くの新語を収録し、話題となっている。日本関連でいうと、「刺身」、「寿司」、「天妇罗」(天婦羅)、「定食」、「数独」、「通勤」、「手账」(手帳)、「新人類」、「榻榻米」(タタミ)、宅急送(宅配便)などなど。また「宅男」「宅女」というオタク用語も収録された。
(関連記事:「オタク」から「宅男」へ=オタク概念の変化がもたらした混乱(百元))
日本経由の新語なんぞけしからんという話がでるかな、とちょっと気になっていたのだが、そういう話はさっぱりなかったもよう。漢字にしてしまえばそんなに気にならないということなのかもしれない。逆に槍玉に挙げられたのが漢字になっていない新語だ。
先日、研究者100人あまりが連名で、、国家新聞出版総署、国家語言文字工作委員会に請願書を送り、現代漢語詞典の不備を訴えた。曰く、239ものアルファベットを使った単語が収録されており、中国語の純潔性を破壊するという。
槍玉に挙げられたのは、NBA、CPI、GDP、ATM、PM2.5など。ちなみに国家新聞出版総署は2010年に「出版物文字使用のさらなる規範化に関する通知」で英単語やアルファベットの略称を使用しないよう求めていたのだという。同年、ラジオ・テレビでもNBA、F1、GDPなどのアルファベット略称を使用しないよう求めていた。もっとも空文化していたようだが。
現実問題として、NBAやCPIなどの単語は出版物や日常会話で普通に使われている言葉。たとえ辞書から削ったとしても、その状況を変えるのは容易ではない。
香港や台湾では英単語をそのまま使うケースが多いが、中国本土では官民ともに強引すぎるほどにがんばって中国語化を推し進めてきた。パソコンが電脳、コカ・コーラが可口可楽、ユニクロが優衣庫などなどすばらしい訳語を次々と作ってきたことは間違いない。
しかし英語教育の普及、海外の情報や物の流入が増えてきたことにともなって、漢字だけの世界を維持するのは困難になってきたように思う。
象徴的なのがアップルだろう。iPhone、iPad、App Store、Retina显示屏……。「うちは中国語化しません」という強い意志を示し、中国の民草に受け入れられている。
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