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2012年09月02日
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■デモについて
9月1日は台湾の記者節(ちなみに中国本土は11月8日)。この日、台北市で旺旺中時メディア集団によるケーブルテレビ大手中嘉網路の買収合併に反対する反メディア独占デモが行われた。予想を大きく上回る9000人が参加(主催者発表)。中国時報本社、そして買収を認可した国家通信放送委員会(NCC)前を行進した。
デモについては朝日新聞デジタル、時事通信も伝えているが、記事「台湾の中国時報で離職者続出(ジャーナリスト野嶋剛)」が空気感がわかるすばらしい内容。簡単にまとめると、
・2009年に台湾食品大手・ 旺旺グループが中国時報を買収。
・中道リベラル路線から一気に親中路線に転換。
・ワンマンオーナーが気にくわない記事を書いた記者を次々と左遷。嫌気がさした有力記者が次々と離職。
・2012年、ケーブルテレビ大手・中嘉網路の買収合併案が浮上。実現すれば12のチャンネル、11のケーブルテレビネットワークを有する巨大メディアとなる。
・これを受け、研究者やジャーナリスト、大学生らが抗議の声をあげた。
という状況だ。
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■サクラ事件
上記野嶋剛氏の記事でとりあげられているのが、中国時報による監視・誹謗中傷事件。反対派の中心人物・黄国昌を24時間体制で監視しては誹謗中傷を書き立てたというもの。
さらにもう一つ問題となっているのが走路工事件(サクラ事件)だ。7月25日、買収についてNCCが決定を下すこの日、黄国昌氏らはNCC前で抗議活動を実施した。中国時報グループは抗議活動参加者に金を配っている人物がいたと報道。黄氏の関与があったのではと報道したが、黄氏は「知らんがな」とぴしゃり。逆に「自作自演乙」と猛反発を買ってしまった。
8月29日、旺旺中時メディア集団は謝罪声明を発表(ETToday)。黄氏はサクラ事件に関与していないことを認め、同グループの報道が誤解をもたらしたと謝罪した。ただし金を配っていた人物は実際に存在したとして虚偽報道ではなかったと改めて主張している。
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