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9月4日、5日の日程で中国を訪れたクリントン・米国務長官。5日に胡錦濤、温家宝と会見したのですが、実は習近平にも会う予定でした。ところが4日の夜になって中国側からキャンセルの連絡があったとのこと。公式には日程調整の都合となっています。
ちなみに習近平の動向ですが、公式で1日の中央党校秋季入学式に出席したのが最後となっております。
読売新聞が「習近平は背中を負傷」と報じたのが影響しているのか、百度では早速「背部受傷」(背中負傷)という単語が「捜索結果可能不符合相關法律和政策,未予顯示.建議嘗試其他相關詞」(法律法規や政策に合致しない恐れがあるため、検索結果を表示できません。似た単語で再度検索してください)とNGワードになっているようです。新浪微博も同様の制限がかかっています。
「背中の負傷」も、趣味の水泳をしていて背中に違和感を覚えたというもの(読売新聞)から、背後から刺されたという政変の香りがするものまであり、そもそも「背中の負傷」などは無く、4日に行われた楊潔チ外相との折衝で、中国周辺海域の領土問題での米国側の態度に不満を持ち、会見をキャンセルしたというものがあります(明報)。
5日、突然の会見キャンセルについて、楊潔チ外相は「双方の協議によるもので、不必要な推測をしないよう」と釘を差しつつ、「クリントン長官の訪中成功を望む」との習近平の談話を発表しています。同日に予定されていたリー・シェンロン・シンガポール首相や、ロシア高官との会見も同時にキャンセルしており、米国側も特定の意味はないと表向きは理解する姿勢を見せているようです。
ただ相手の態度が気に食わない、会っても結果が見えているという理由で突然会見をキャンセルするのは中国の常套手段ではあります。2005年に呉儀副総理が予定されていた小泉総理(当時)との会談をキャンセルして帰国したのが代表的です。
なお習近平が胡耀邦の子息・胡徳平と会見し、薄熙来を法に基いて処理すると発言したと、ロイターが報じています。ただし「過去6週間の間に」という話なので、今回のドタキャンと関係しているのかどうかは不明です。
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*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年9月8日付記事を許可を得て転載したものです。