■中国各都市でのデモに及び腰のメディア■
*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年9月16日付記事を許可を得て転載したものです。
■一線を越えた「暴動」……深圳の予兆
15日は中国各地でデモが起きました。
(関連記事:反日デモはミニ文革なのか?15日デモのまとめと「気になる」ポイント―中国)
日本車が破壊されたり、日系スーパーや日本料理店への襲撃されたのに加え、日本と全く関係ないロレックスやクリスチャン・ディオールの店舗が襲撃・略奪されるなど、もはや反日デモを口実とした単なる暴動に発展しつつあります。
2005年のデモ、2010年のデモ、そして先月末のデモでは、日本からターゲットが外れる事は無かったのですが、先月のデモは深圳が他地域に比べて極端に荒れており、今から思えば今回の略奪に繋がる予兆はありました。
深圳では日系の公安車両がひっくり返されていたのですが、これも2005年や2010年には見られなかった現象で、「公安の車両には手を出さないんだな」と揶揄されていたくらいだったのです。ところが深圳でもはその一線を越えてしまったのです。
一応、容疑者は逮捕されたことになっています(関連記事)。
深圳で4人が日本車破壊容疑で逮捕(新華社、2012/9/14)
市民の愛国の情熱は理解できる。市民が合理的な声をあげることも支持する。しかし一部の輩が群集を中から扇動した。他者の財産を侵害する行為について、愛国の名の下に違法行為をする事を警察は容認出来ない。市民は理性的にこの件を見るべきだ。
デモの予定されている15日を翌日に控え、ある程度の抑止力に使ったつもりなのでしょうが、全く効果はありませんでした。
■中国メディアのデモ評価と今後の展開
14日までは人民日報も北京でのデモを報じる余裕もあったのですが、15日は北京以外の地域での荒れ具合に肝を冷やしたのか、北京のデモはスルーされ、代わって参加者をたしなめる記事がいくつか出てきています。
愛国は法律の最低ラインを超えてはならない(新京報 2012/9/15)
評論「愛国の情熱に犯罪を持ち込んではならない」(北京青年報 2012/9/15)郭文\x{5a67}「私が日本製品を使う権利を尊重して」(西部網 2012/9/15)
学者「極端な民族主義感情が中国を奪うのを阻止せよ」(人民日報 2012/9/15)
ネット評論「我々はどうやって釣魚島を守るか」(人民日報 2012/9/15)
似たような記事なのでまとめてしまうと、「愛国はいいけど過激にならないでね」の一文で済んでしまいます。「日本の右翼は中国の団結を恐れている」という噴飯モノの呼びかけもありますね。
この解放日報の「四・二五社説」が上記のフニャフニャした記事と決定的に違うのは、自動車の破壊行為ではなく、デモそのものを違法であると断じた点です。デモ参加者は全員逮捕なのだ、であります。
「日本の違法行為」である尖閣諸島の国有化や、「愛国の情熱は理解できる」など余計な話は一切書かず、共産党員、共青団員に「闘争の本質を見極めるよう」呼びかけており、事態が非常に切迫していることがわかる内容になっています。
ここまで踏み込んだ批判が出来るか。「反日デモ」が反日デモではなくなった今、団結するのは党中央ではないのか、とか思ったりもします。
・おまけ:16日の中国朝刊各紙
1面を眺めて見ると、前日に反日デモ・暴動が起きたことなどみじんも感じさせない状況に……
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