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2012年09月20日
平手打ち事件の加害者として、批判の的となったのは北京航空宇宙大学経済管理学院の韓徳強・研究員。薄熙来事件のあおりを受けてお取りつぶしになった左派のウェブサイト・烏有之郷の創始者の一人だ。
政府が理性的なデモを呼びかけている最中での暴行。しかも「ボクらが気持ち良くデモしているのを邪魔するやつは殴る」(超要約)という醜悪すぎる言い訳と、毛沢東時代を知らない毛信者が、毛沢東時代を本当に知っている老人を殴るという切ない構図に、この話題はあっという間に広がっている。
というわけで、韓研究員の弁明をご紹介したい。
■韓徳強の弁明
2012年9月18日、日本大使館前の道路では、1万人もの憤怒した中国人が高らかに「釣魚島を守れ、打倒小日本」「毛主席万歳」「日本製品ボイコット、自分からはじめよう」と叫んでいた。デモは民心とミンを表すもので、日本の狂った政治家の心胆を寒からしめるものだった。
同日4時過ぎ、私は地下鉄・亮馬橋駅出口に到着し、河北省固安県からやってきた5、600人の農民デモ隊と合流した。兄弟たちは毛主席の写真を掲げ、「打倒日本帝国主義」「毛主席万歳」「命にかけても釣魚島の防衛を」と叫んでおり、私はいたく感動した。
デモを終えようかという時、シーツに「毛主席、あなたのことを懐かしく思っております」と大書されたシーツを持つ青年2人組を見かけた。私は足を止めて、彼らと話したが、その時、耳障りな声が聞こえてきた。
「何がなつかしいだ、クソッタレ」
振り返るとそこに老人がいた。不思議に思っていると、その老人は毛主席を罵る言葉をえんえんと吐き続けていった。「主席を罵倒するなんて、おまえは漢奸だ。日本人のスパイだ」と大声で叫んだが、彼はとりあおうともせず汚らしい言葉を吐き続けた。私は飛んでいって平手打ちを食らわせてやった。老人も反撃指摘、私のメガネは飛び、まゆじりが切れた。周囲の人が間に入ってその場は仲裁された。
その後のこと。私は青年2人組と一緒に再び大使館に向かってデモを続けたが、やはりあの漢奸はデモの中にいて罵り続けているではないか。その姿を見つけて私はまた平手打ちをかましてやった。彼も反撃しようとしたが、周囲にさえぎられた。
(平手打ち事件の)事情は以上のとおり。事件後、現場写真がネットで公開され、あの老人は道理を説く人間で、私は理性のない「憤青」(憤怒する青年)と書かれた。この件について私は以下2点の声明を発表する。
(1)私は暴力には反対だ。常に平和的に理を説くことを主張してきた。しかし道理をわきまえない人間、デマ、誹謗、そして開国の領袖を侮べつする人間に出会った時、中国人の団結を破壊し日本人のための漢奸に成り下がった輩と出会った時、私は我慢することはできない!捕まったとしてもあの漢奸どもを野放しにはできない。
(2)もし座談会などの席で、両者が善意に基づいてむきあっているのならば、毛主席に対して不敬な言葉があっても、実事求是(事実に基づいて真実を求める)の態度で立ち向かうだけ、我慢するだろう。それはこれからもそうだ。だが、みなが小日本打倒の怒りの声を上げ、毛主席を思うデモの中にあって、これほど大胆な漢奸の言説を許すことはできない。今後もデモで同様の漢奸と出会ったならば、殴るべき時に私はなぐるだろう。法を犯しているのならば、罪に服そう。だが間違いとは絶対に認めない。
(3)私の発言はわたし自身が責任を持つ。誰かがまねることはすすめない。
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