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2012年09月21日
そのビッグイベントとは、河南省南陽市で開催されている第7回農民運動会。農民運動会とは1988年、ソウル五輪と同じ都市に北京で第1回大会が開かれ、以来4年ごとに開催されているスポーツ大会だ。全国運動会、都市運動会、障害者運動会、少数民族運動会と並ぶ中国5大国家級総合スポーツ行事の一つだという。
農民運動会の魅力はなんといっても奇々怪々の種目の数々。実際の農業からインスパイアされたさまざまな競技で、アスリートたちの農業力が計られる。その熱戦の模様を中国新聞網が伝えている。一部を紹介すると……
*男子60メートル田植え競争。田植え用の板がなんともシュール。
*同じく男子60メートル田植え競争。どうやら田植えの前に天秤棒で苗を持っていくところからスタートらしい。
*男子5000メートル荷物運び競争。10キロのおもりを持って走る。
*女子60メートル穀物収穫倉庫納入競争。 穀物を麻袋に詰め三輪車で運ぶ。
*女子80メートル穀物運び競争。なぜか1対1の勝ち抜き戦で争われるという。優勝するにはこれを繰り返さなければ……。
他にもタイヤ転がし、たいまつを持ちながら泳ぐ水泳(危ないのでたいまつは模造品です)とかいろいろ面白そうな競技があるのだが、公式サイトを見てもどういう競技があるのか全貌がわからないので紹介はこれぐらいにしておきたい。一応、バスケットボールや卓球といった普通の種目もあるようだ。
こうしたオモシロ運動会が存在することもそうだが、1988年と比較的最近創設された点も興味深い。思うに広い中国、しかも省単位ではなく都市単位で主催するとなれば、田舎町ではなかなかスポーツ大会を開くことができない。しかもそれぞれの大会は4年に1度しか開かれない。
となればオモシロ運動会を創設して回数を水増しするのも仕方がないのではないか。オラが街でも開けるスポーツの祭典。しかも地元官僚は「ビッグイベントを成功させました、ハナマル」と政治業績までアップできる。
ちょっとかわいそうに思えるのは参加したアスリート。いつか五輪にと夢見ている少年が「明日から田植えの練習がんばれや」と言われたことを想像すると……。ちなみに成績では地元・河南省が圧倒。というか地元以外の人はそんなに練習していないと思われる。地元・河南省のアスリートたちがどれぐらいの期間、農業力を高める特訓を積んだのか、ちょっと気になるところだ。
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