■ラサで僧侶が警官に撃たれ死亡/バタンで土地強制収用 25人負傷■

Village, Tibet / watchsmart
■警官がチベット人を射殺、真相は藪の中
2012年9月6日、チベット自治区ラサ市で、僧侶が警官に射殺される事件が起きた。警察はたんなる事故だったと弁明している。
ガンデン僧院の僧侶ソナム・ドルジェ(བསོད་ནམས་རྡོ་རྗེ་40)は、治療を受けるためにラサに向かった。ラサ市パルコルの東にあるテン・コンチュ地区でのこと。ある派出所の近くを通り過ぎようとした時、彼は突然後ろから警官に撃たれた。すぐに病院に運ばれたが、銃弾は心臓近くを貫通しており、治療はできなかった。
警察側は事件を事実と認めているが、あくまで「偶発的出来事」と弁明している。その一方で目撃者に対して、詳細を漏らした者は逮捕すると脅しているという。
ガンデン僧院が遺体の引き渡しを要求したが、警察側は応じなかった。遺体は事件の翌日、メルド・ゴンカルに住むドルジェの家族に引き渡された。警察側は年老いた両親にわずかばかりの賠償金を渡し、「息子は銃で撃たれて死んだのではなく、病気で死んだのだと言え」と命令したという。
なぜドルジェは撃たれたのか?真相はいまだに不明のままだ。警官がチベット人を殺したとしても何もとがめられない。それが今のチベットだ。
■土地収用に抵抗するチベット人に軍・警察が暴行
チベットのカム地方バタン(巴塘)で、軍・警察がチベット人の村人を殴打する事件が起きた。
亡命チベット議会のババ・ケルサン議員が伝えるところによれば、今月16日、バタン県メト郷ツォジャン村(འབའ་ཐང་རྫོང་མེ་ཏོག་ཤང་མཚོ་བྱང་ལུང་གྲོང་སྡེ་)で事件は起きた。軍と警官約300人が押し掛け、老若男女を問わず、行き交うチベット人全てに襲いかかった。25人が負傷、うち8人は重体で遠く離れた病院にまで運ばれた。それ以外にも手足を折られるなどの重傷者も多数いるという。
事の始まりは3年前だった。水力発電用ダムの建設計画が決まったが、チベット人の土地300ムー(20ヘクタール)を、補償金を払うことなく利用しようとしたという。住民は地方政府に何度も抗議したが、聞き入れられることはなかった。
今年のロサ(チベット正月)の前、業を煮やした住民たちは工事の中断を迫り、衝突が起きた。その後、補償金の支払いが打診された。一般にバタン県の土地は1ムー当たり16万元(約200万円)が相場だが、田舎の土地ということで8万元(約100万円)でいいというのが村人の主張。しかし開発側は2万8千元(約33万6000円)が限度との主張。両者の条件は大きくかけ離れていた。
16日、村人は集まり、正当な補償金を払わなければ工事を中断せよと迫った。すると、開発側は県官僚と軍、警察を呼び寄せた。そして上述の暴行が行われたという。現在も村は軍に包囲されたままだという。
■漢民族移民者の住宅地確保のため農地を修養
バタン県のバタン近郊では、中国からの移民3万人の住宅用地を確保するため、チベット人の農地の強制土地収用が進められている。現地住民は反対しており、緊張が高まっているという。
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