2012年9月25日、台湾の漁船40隻、巡視船8隻が尖閣諸島付近の日本領海に侵入した。
■尖閣海戦(ただし放水銃のみ)
台湾漁船団が尖閣沖の領海侵入、海保の巡視船が放水で警告
台湾の漁船約40隻が25日、海岸巡防署(海上保安庁に相当)の巡視船8隻とともに尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖の日本領海内に侵入した。これに対し、海上保安庁の巡視船が放水するなどして、台湾漁船などに領海外に出るように警告した
鳳凰網が現場の写真特集を公開しているが、これがすさまじい。
巡視船、漁船入り乱れて大変なことに
追いかけっこと放水銃
日台巡視船、並行に航行しての砲撃戦。ただし放水銃。
■CM入り抗議船
さて上記写真2枚目、手前側にいる漁船の横に小さなアニメキャラがいるのにおきづきだろうか?
それがこちら。
旺仔。台湾の大手菓子メーカー・旺旺集団のマスコットキャラだ。隣に書かれているのが旺旺中時集団は「尖閣防衛を支持します」といった文言。
なぜかわいいアニメキャラ・旺仔が尖閣に出撃し、日本巡視船と死闘を繰り広げたのか。その経緯がなかなか味わい深い。台湾ニュースサイト・ETtodayの
24日付記事によると、今年8月、宜蘭県議会で尖閣に漁船を向かわせる抗議活動が提起されたとのこと。しかし燃料代が高すぎてその費用が捻出できない。
2006年のTzini号事件(座礁した輸送船から漏れた燃料で海が汚染された事件)の賠償金から140万台湾ドル(約372万円)を転用することが決まったが(いいのかな?)、あと360万台湾ドル(約955万円)足りない……。
という時に名乗り出たのが旺旺を率いる、親中派のワンマン経営者・蔡衍明。ぽんと500万台湾ドル(約1330万円)を提供。今回の出港にこぎつけた。代わりに漁船はマスコットキャラクター入りの広告横断幕を装備しての抗議活動となってしまった。
■中国政府のバックアップでは今回の大騒ぎは親中派企業家と県議会が作り出したものなのか、と言うと、それもちょっと違う。台湾政府の全面的なバックアップを受けていたといっても過言ではない。
台湾の海岸巡防署巡視船8隻が漁船に同行し、領海侵犯しては放水銃の打ち合いをしていっただけではない。台湾の海軍、空軍が臨戦態勢。「一朝ことあらば」介入できるように万全の準備をしていたという。軍は以前から漁船の抗議活動を支援すると公言していたが、実際にF-16、ミラージュ2000の空中待機をさせていたほか、軍艦3隻を現場近海に派遣していたという。
中国も尖閣近海にこっそり軍艦を派遣していたと話題になったが、台湾はむしろ公言。まあ尖閣問題で政府もがんばっておりますとアピールするのが目的だから当然ともいえるが、尖閣近海で巡視船によるピンポンダッシュ(接続海域に突入しては離脱)を繰り返す中国以上の挑発行為ではないだろうか。
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