• お問い合わせ
  • RSSを購読
  • TwitterでFollow

【尖閣問題】「日本と妥協しても国民諸君は怒るなよ」(超意訳)=環球時報の社説を読む―中国

2012年09月26日

中国共産党の準機関紙・環球時報の社説が「尖閣問題で日本と妥協しても、国民諸君は怒るなよ」(超意訳)という内容。なかなかに興味深い。






Guangzhou Streetside
Guangzhou Streetside / Quinten Yearsley

環球時報といえば、中国の国際政治タブロイド紙にして、発行部数ナンバーワンの日刊紙。その過激な言説がとりあげられ、「中国怖い」の証拠として採用されることも少なくない。

が、一人の環球時報ファンとして「過激な発言」で同紙社説をくくるのは間違えていると感じる。国際問題絡みの社説は基本的に「俺たちの決意を軽く見るなよ、中国大勝利」「敵のすごい戦略で俺たちやばい、中国大ピンチ」の2パターンで成り立っている。タブロイド紙なので読者は一般人の中の一般人なのだが、そのみんなで低俗な天下国家談義をしようという傾向というか。ザ・床屋政談と呼んでもいい。

そんな環球時報だが、時々まじめなメッセージを発することもある。その際に床屋政談的なニーズも満たしながら、やたらともってまわった論考を書くのがすばらしい。今回紹介するのがまさにそういう内容だ。楽しいので、全文訳出してみたが、要約すれば「日本と妥協するかも知れないが、民草の皆さんは怒らないでください」というものだけ。もはや芸術と言えるのではないだろうか。

そういう環球時報の読み方的なコア中国マニアな楽しみ方だけではなく、「環球時報は日中のなんらかの妥協が近いと考えているんだな」という普通の読み方も可能です。


日本は当分軟化することはない、速戦即決は現実的ではない

環球時報社説、2012年9月25日

日本政府は24日、河相周夫外務次官を中国に派遣、日中の緊張状態を緩和させようとする姿勢を見せた。もっとも釣魚島について両国は語るべきことはない。相手が譲歩するとはどちらも考えていないためだ。日本が変わるにせよ、それは長期にわたり中国が圧力をかけ、本当の苦しみを味わった後になろう。

日本のあるポーズや言葉をもとに日本の「軟化」を読み取る者もいるが、これは願望、自らを慰める必要から生まれたものだろう。日本は時に強硬、時に温和な顔を見せる。釣魚島を「国有化」するという大きなアクションをおこしておきながら、対中友好を維持したいと真に迫ったパフォーマンスを見せている。これらは日本の対中闘争がきわめて大きな弾力性を持ち、攻防自在であることを示している。

日本と比べ、我が国が闘争戦略を発動させるのは骨が折れる事態である。しかも戦略がひとたび発動すれば、微調整は容易ではない。その重要な原因は中国の世論は過去、対外闘争に参加したことがほとんどないためである。しかもひとたび参加すれば、(暴徒化した反日デモのように)猛烈な勢いとなる。(その意味で、中国世論の)強制力は日本や西洋の世論以上に強い。また政府と世論が阿吽の呼吸で対外闘争を戦うという面においても、いまだ未成熟である。

釣魚島の争いは実力と外交芸術のハイレベルなせめぎ合いである。その中において政府は中心的な役割を担うが、主権防衛の行動に対する民衆の支持も必要となる。しかしこうした支持が政府の行動を規定するものとなってはならない。政府は情勢の変化に応じて、戦術を決める選択が必要だ。

釣魚島の闘争はまず「闘」から始まった。中国の海上巡視は釣魚島に向かい、しかも12カイリ以内に入り、いわゆる日本の「実効支配」を打ち崩さなければならない。断固とした「闘」がなければ、釣魚島防衛に関するすべての言行は空論となろう。

ただし「闘」だけではだめだ。私たちは「争」にも取り組まなければならない。時機を争い、国際社会の理解と支持を争い、日本との駆け引きの実質的効果を空沿い、中国国内においては対日問題における団結の心を争わなければならない。中国の力は戦略的知恵という最良のパートナーを必要としている。そうあってはじめて、中国との駆け引きにおいて日本、この道徳的な最低基準を持たない国を屈服させることができるだろう。

中国は社会の転換という特殊な時機、国家の台頭という重要な時期の最中にあって、今回の対日闘争に直面した。中国のハードパワー(軍事力)はまだ弱く、日本と対決する力を備えていないと考えている者もいる。中国の不確定性はまさに、強硬的な日本制裁に社会の支持が長期的な安定を得られるかどうかにある。

中国社会は日本の制裁にきわめて積極的だが、しかし容易に激化しやすい。釣魚島防衛と中国国家発展という歴史的好機は相反するもので、あたかも「二択」を迫られているかのようだ。もし両者の関係をうまく処理できなければ、中国社会には早晩、「内乱」が起きることになるだろう。

釣魚島主権の宣言(釣魚島回復)、対日闘争という現実的な目標、この2つがすぐに合致するということはない。中国社会はこの点についてよく理解しておらず、さまざまな勢力が中国内部で駆け引きするスペースが生まれている。釣魚島防衛の問題が拡大すればするほど、議論もより多くなる。

中国は、釣魚島防衛がもたらす高強度の各種緊張を受け止められるようにならなければならない。釣魚島防衛の曲折、あるいは小さな挫折を受け止めなければならない。私たちはいかなる状況においても尖閣防衛の意思をゆるめてはならないが、それには社会の高度な協調が必要であり、さらにあまり協調的でないものを受け止め、寛容になることが必要だ。

釣魚島防衛はまさに持久戦となる。慌てて解決しようとしてもできるものではない。先日来、中国世論は存分に決意を表明したが、この真実の道理については十分に述べていない。民衆の釣魚島防衛にかける熱意は激烈だが、忍耐心と忍耐力はまだ不十分のようだ。

中国にとって日本はこの一世紀あまり最も頻繁に戦ってきた相手である。中国の対日戦略の優位もまだ確立したばかりだ。釣魚島の徹底的な解決は中国が全面的に日本に対する優勢を拡大した結果もたらされるものであり、近道はない。この認識は中国の釣魚島問題解決の全戦略における最初の出発点となろう。

関連記事:
「官僚の適度な汚職は許すべき」?!環球時報の大胆すぎる社説が話題に―中国
【小ネタ】中国民間の金融飢餓=環球時報の紙面構成が秀逸すぎる件
「中国の漁民がルールを守れるはずがなかろう!」環球時報のスゴい社説―中国(水彩画)
人民日報系タブロイド紙・環球網のカオスな「成功」=中国式「2chまとめサイト」の台頭
【反日デモ】毛沢東を知らない若き毛沢東信者、毛沢東を罵る老人を殴る―中国
【反日デモ】ボクが経験した反日=日本大使館の前を歩いてみた―中国
【尖閣問題】“国有化”が中国を怒らしたわけ=人民戦争発動のロジックを考えた
【反日デモ】反日デモの終わらせ方=デモの黒幕は周永康と予想してみた(水彩画)
【中国斜め読み】反日デモ、笑える写真をピックアップ=腐女子も絶句?!ジャッキー・チェンがイケメンと熱いキス(ujc)
【反日デモ】「中国政府は抑制に転じた」の間違い=反日モードはそう簡単には終わらない
【反日デモ】「もうすぐ日本と開戦!」デマが引き起こした食塩買い占め騒ぎ―中国
【反日デモ】「暴力では解決できない」デモ隊に引き裂かれた少女のメッセージ―中国
【中国斜め読み】反日デモの発起人は交通警察隊長?!デモにまぎれて汚職官僚批判ほか(ujc)
今日の反日デモと気になるポイント=深圳が大変なことに―中国
【反日デモ】中国共産党は暴動をやめさせるのか?メディアから読み解く今後の展開(水彩画)


トップページへ

 コメント一覧 (7)

    • 1. ---
    • 2012年09月26日 23:06
    • なんか、タブロイド紙のくせして、言葉が説教くさくて、何か隠し事していながら、偉そうに上からものを言っているようだ。
      中国の新聞の社説って、どれもこうなの?
    • 2. Chinanews
    • 2012年09月26日 23:37
    • >---さん
      ここまでえらそうなのは環球時報さんだけかと……
    • 3. 在日本中国人甲
    • 2012年09月27日 10:34
    • 俺の予言(長期化、日中双方ともに大きなダメージになる)した方向に向かいつつある。
      両方ともに譲歩する気配がないのが一目瞭然だし。
      今回は中国側も本気で怒っていて、「痛みを感じさせて、記憶に残る」まで制裁するつもりだ。
      せっかく両方の考え方が分かるので、形勢を分析していただけだ。
    • 4. 在日本日本人乙
    • 2012年09月27日 12:43
    • ただの所有権移転で「本気で怒」られても、
      日本人としてはポカーンとするしかないけどな
      相変わらず中国人は所有権と領有権の区別がついてないようだ
    • 5. 日没する国の虫皇たちへ
    • 2012年10月01日 04:15
    • 中国側は日本国民の持つ感情というものを
      分析して日本を見てるのか疑問だな。
      そもそも、最近の流れの発端は韓国大統領の
      竹島上陸と天皇陛下謝罪要求だと思う。
      それが原因で憤怒に満たされていた日本を
      中国が知らなかったわけではあるまい?
      この点に言及した中国の論評があれば読みたいものだ。
    • 6. Chinanews
    • 2012年10月11日 23:59
    • >在日本中国人甲さん
      長期化、双方ともにダメージはそのとおりですね。

      ただ中国側もどういう風に終わらせたいのかわかっていないんじゃないかな、と思ったり。日本側にもあんまり智慧はなさそうですが。

      せめて10年ぐらいけんかしないで済む枠組みが欲しい……
    • 7. 反中、反韓
    • 2012年10月24日 14:33
    • 中国共産党は日本の敵だ。友好などまったく考えてない。
      金儲けができないなら、見捨てるのみ。
      中国の市場なんか当てにしていない。
      もうすぐ、農民が大反乱起こして
      中国の統一は終わるんと違う。
      ちなみに中国人には悪意はないよ。
      在日朝鮮人は皆殺しにすべきだと思ってるが。

コメント欄を開く

ページのトップへ