中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年10月01日
というなんともステキなタイトルの記事をボイスオブアメリカ中国語版が配信している。
記事の元になっているのはブルームバーグの記事「ヤクルト、中印で市場拡大 規制なく宣伝自由、健康効果アピール」。日本語版はサンケイビズに掲載されている。
効能の宣伝が厳しく規制されている欧州と異なり、アジアではもうちょっと攻めた表現での広告が可能だという。例えば中国では「免疫調整と腸内環境改善を助ける」、台湾では「善玉菌」を増やすとの表現が可能だ。なのでアジアの乳酸菌製品市場は潜在力がある、ダノンのヤクルト株買い増しはどうなるといった話に展開している。
もっともブルームバーグの記事では中国のクレイジーぶりは伝わらない。中国のヤクルト信仰は免疫調整うんぬんというレベルをはるかに超えたもの。ダイエット、美白、豊胸、角質除去、がん予防などなどさまざまな迷信が炸裂、今年6月にはメディアが取り上げるまでの騒ぎになった(日本語記事)。
でもって、中国本土のヤクルト信仰によって香港のヤクルトが品切れになるという事態にまで発展している。税金の分、香港のほうが品物が安いことを利用して、香港・中国本土間を往復してはさまざまな日用品を買い占める人を「水貨客」という。粉ミルクやら薬やらがもともとのターゲットとして知られていたが、今ではヤクルトもそのターゲットとなった。
今年9月、香港の新界北区で「中国人は中国に帰れ」というスローガンのデモが起きた。同区は中国本土に隣接しており、「水貨客」の被害が深刻だという。そのデモにはなんと「俺たちにヤクルトを返せ」というスローガンまであったという(RFI)。
日本製品ボイコットを叫ぶ一方で、香港のヤクルトを買い占める個人輸入(?)は続いていたという次第。中国ネットモール最大手タオバオをのぞくと、今も「香港産ヤクルト」は堂々と出品されている人気商品。ボイスオブアメリカの言うとおり、「日本製品ボイコットを叫んでも、「ヤクルト」を飲まないわけにはいかない」のかもしれない。
関連記事:
「中国人は醜いイナゴ」香港で高まる反中感情=募金を募り新聞に意見広告
【反日デモ】日本右翼が数千人規模の反中デモを実施する!中国各紙が報道
「香港人は犬畜生」天安門事件参加者から北京大学教授になった男の「暴言」―中国
【南シナ海問題】「中国製品をボイコットせよ」と州知事呼びかけ=フィリピンもネタを提供
【尖閣問題】日本を経済制裁したらフィリピンに外資企業を奪われそうなんだが……中国で話題に