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<尖閣問題>日本の映画・ドラマをネットから削除……中国の「文化制裁」発動も論理学的難題が発生

2012年10月04日

日本ドラマの海賊版を見て著作権を侵害する方が日本に打撃を与えられるのだろうか。それとも日本ドラマの海賊版を中国から追い出す方が日本に打撃を与えられるのか。


とまあこんなどうでもいいことを考える羽目になったのは中国の斜め上の対日報復のせいだ。

日本番組、見られない? 中国動画サイト、一覧から削除
朝日新聞デジタル、2012年10月4日

中国の複数の大手動画共有サイトで、ドラマや映画を視聴する際の国別欄から、韓国や米国などと並んで紹介されていた「日本」の項目表示が一斉に無くなった。尖閣問題などとの関係は不明だが、多くの国の中で日本だけが削除されたため、中国のネット上では、尖閣諸島をめぐる日中の摩擦が原因だとの見方も出ている。

表示が消えたのは、大手動画共有サイト「優酷網」「土豆網」「PPS」「風行網」など。動画共有サイトはユーザーが映像を投稿でき、著作権契約がない「海賊版」も多い。

中国版ツイッター「微博(ウェイポー)」では、数日前の措置として騒ぎになっている。「土豆網」の映画のページでは、45の国と地域が表示されているが、日本はない。

■一人一人が出来る範囲で反日しましょう

20121004_写真_中国版_海賊版_1


上記は土豆網の映画ページ。南アフリカやブルガリア、ルーマニア、アイスランドまでセレクトできるのに、日本という選択肢まできれいさっぱり消えている。先日は北京市で日本作家の書籍、日本関連の書籍が売り場から撤去されるという騒ぎがあり話題になった(ブック・アサヒ・コム)。しばらくして売り場に日本の書籍は戻ってきたと言うが、今度は映画、ドラマでの経済制裁ならぬ「文化制裁」を実施ということになろうか。

「文化制裁」というと、「中国は経済だけではなくて文化でもしめあげるつもりなのか!」と早合点してしまいそうだが、おそらくそういうことではない。次から次へと出てくる報復手段はトップの指示に基づいて統一的に動いているというよりも、反日ムードに呼応して「それぞれの部局、地方政府が自分たちでできる反日を考えましょう」という傾向が強い。

今回、複数の動画配信サイトが一様に映画・ドラマのページで日本カテゴリを削除したことから考えて、主管部門である中国ラジオ映画テレビ総局あたりからお達しが出た可能性が高いのではないか。再生回数(=広告表示回数)的にドラマよりも上の日本アニメが見逃されているあたり、「日本のコンテンツってやっぱあれだろ、映画だろ、ドラマだろ。高倉健と山口百恵だろ」的発想のおっさんから出た指示なのではないかと妄想してしまったり……。

さて、ちょっとオモシロイのはもともと日本のコンテンツホルダーにとって、日本ドラマの海賊版が流されている状況は「被害」だったはず。となると、今回のカテゴリ取り消しはむしろ喜ばしい話なのだろうか。日本を苦しめるためには中国国民が必死になって日本の海賊版ドラマを見まくるほうがいいのだろうか。

なんだか論理学の問題のような話。ネットでえんえんと続いている論争、「著作権侵害ダメ絶対」VS「海賊版には宣伝効果があるからコンテンツホルダーにとってもありがたい話なんです」に中国の「文化制裁」が一石を投じたと言ってもいいのかもしれない。

ここは一つ、みなさんも中国のネット動画取り締まり部局責任者になったつもりで、どうすれば一番日本を苦しめられるのか考えてみて欲しい。

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