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名作を見返してみたら微妙やった……中国オタク「聖闘士星矢と思い出補正」(百元)

2012年10月09日

■中国オタク的「聖闘士星矢と思い出補正」■

*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年9月20日付記事を、許可を得て転載したものです。



Afrodita of Pisces
Afrodita of Pisces / Stilogeno

中国オタクの間で、いわゆるオタク的なファン層が形成された最初の作品は90年代に中国のテレビで放映された「聖闘士星矢」だと言われています。

中国でも「聖闘士星矢」には根強いファンがいまして、代表的な名作アニメとでもいった扱いになっていますし、以前久々のテレビアニメ続編である「聖闘士星矢Ω」が発表されたときなどは一般のニュースでも扱われるくらいでした。

ただ、「聖闘士星矢」も昔の作品ですし、今の感覚で思い出してみたり、もう一度きっちり見てみたりすると、記憶の中で美化されていた部分や、昔見たときには気付かなかった微妙な所に気づいてしまったりするようです。先日、中国のソッチ系の掲示板でそういった思い出に関するやり取りが行われていましたので、今回はその辺についてを例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■聖闘士星矢と思い出補正に悩む中国人オタク

最近「聖闘士星矢」のアニメをまとめて見たんだが、自分が思っていたほど面白くないし、粗雑な所も目についてしまった。何と言うか、「思い出補正」ってものを強く感じてしまったんだが、みんなはどう思う?「聖闘士星矢」ってウチの国で評価が高いけど、単に思い出補正が高いだけでそこまで名作ってわけではないのでは……?

昔の作品だとどうしてもそういうのあるよね。特に子供の頃に見た作品とかは。ただ「聖闘士星矢」は当時トップクラスに人気があって面白いとされた作品だというのは間違いないし、今でも評価できる或いはされている所も十分にあると思うんだが。

何となく分かる。自分も「ガンダムSEED」のHD版を最近追っかけているけど、演出や作画に関して「自分の中で美化されていた所」を感じたりするわ。私より上の年代の人が子供の頃に見ていた作品となると20年近く前のモノになるし、今の感覚で見るとなるとキツイ所はあるだろうね。

私は「聖闘士星矢」に関しては特に思い入れは無いんだけど、年上の親戚が「聖闘士星矢が如何にスゴイ作品なのか」と話してウルサイのには辟易している。そしてその話を聞くたびに「子供の頃の思い出補正入ってんじゃないの?」と思ってしまうんだが、やっぱそういうのってあるの?

実際に見てみると思い出補正を強く感じてしまうことってのはあるね。「聖闘士星矢」は特に人気の高い作品だし、そういうのは強いんじゃないかと思う。私の場合はストーリー展開やキャラの考えとか、今となっては受け入れられない部分が結構あったかな。それでも聖闘士星矢と言う作品やキャラが好きなのは変わらないが。

分かるぞ!最近自分も復習というか、オタクとして押さえておくべきだと思って星矢を見直してみたんだが……シャイナさんってこんな微妙なキャラだったっけとちょっと困惑した。

昔の作品に関して、繰り返し見られるのってOPだからなぁ。全編をきっちり見直すってのはなかなかやらない。OPって基本的にどの作品も非常に気合を入れて作ったり、劇中の良いバンクシーンを使ったりするからクオリティが高い。それを基準にして記憶が確定してしまうという所もあるのではないだろうか?

あと昔の作品はアニメオリジナルのストーリーを入れたりすることもあるね。そのシーンに関して、昔は特に疑問に思っていなかったけど、大人になってから見ると頭痛のするようなヘンなストーリーや設定だったりすることも……

聖闘士星矢のアニメ版に限らず、昔の作品は原作連載の進み具合とアニメの進み具合を調整するためにアニメオリジナルを入れることが結構あったらしい。その結果、原作と矛盾したキャラや話が出て来ることになったとか。

何て言うか、昔のオリジナルって原作との乖離が激しいよね。「聖闘士星矢」もアニメだと鋼鉄聖闘士とかいうのまで出て来るし。なんで当時の自分はアレを受け入れられていたんだろう……

現在の感覚で見てもそれなりに納得できて、しかも原作をうまく活用したオリジナル展開ということなら恐らく「LOST CANVAS 冥王神話」が一番安定しているんじゃないかと。それでも演出的には今の感覚で見ると笑ってしまうシーンが有ったりはするんだが。

アニメ独自の設定の方が良いケースもあるぞ。「鳳凰星座の一輝」とかはアニメ版の方が強いキャラと言う描写になっていて良いと思うが。

でも、アニメ版だと一輝は「ドクラテス」とかいうオリジナルキャラにやられたりするぜ?自分としては一輝は原作推奨。てかアニメ版は今考えるとヘンなオリジナルキャラ多いよな……

いたいた、ドクラテス。「北斗の拳」と出る作品を間違えているんじゃないかってキャラだったな。あと矛盾がでかいのは「水晶聖闘士」だな。原作にそのあと「カミュ」が出たから師弟関係がもう大変なことに。

しかし「聖闘士星矢」ってアニメ作っている時に車田正美とテレビアニメのスタッフの打ち合わせとかは無かったんだろうか?「悪の教皇アーレス」や「ギガース参謀長」、「パエトン参謀」とか、たぶんテレビアニメの演出上の改変や追加だとは思うんだが、後で原作に「サガ」が出てきちゃったから教皇に関してまたややこしいことになっているし。

出る番組間違えていると言えば、俺は科学の力で戦う「鋼鉄聖闘士」の作品からの浮きっぷりが印象深い。あいつらはやはりスポンサーであるバンダイからの刺客だったんだろうか?しかし今になって見直してみるとストーリーや設定が気になって、ついツッコミを入れてしまうね。

アニメ版は最初の聖衣も原作とかなり違うよね。個人的には原作の青銅聖衣の方が上位の聖衣と差別化されていて好みだったから、アニメの改変は不思議だったんだけど、あれも今になって考えると、商業的な理由なんだろうなぁ。

ツッコミと言えば私は「聖闘士に一度見た技は通用しない」が本当かどうかチェックしながら見てしまったな。あと「蜥蜴星座のミスティ」の全裸シーンで聖なる光が仕事をしていたのには吹いてしまった。あんなに昔から聖なる光は働いていたのか!

そういえば、作中に出て来るキャラの年齢設定も今考えてみるとスゴイかも。昔見ていた当時は子供だったし、全員年上キャラだったから特に疑問は持たなかったが、青銅聖闘士の年齢設定はほとんどが十代前半。こんな13~15歳がいるか!とつい思ってしまったり。

確かにツッコミ所は多いけど自分はテレビアニメ版を今でも普通に楽しめるよ。ただキャラのデザインにはやはり時代を感じてしまうというのはあるね。

ストーリーの動かし方や戦闘シーンの見せ方とかを比較すると、昔のファンからの批判が多い「聖闘士星矢Ω」がなんだかんだでアニメの進歩の先に作られたものだと実感する。ただ、黄金聖衣の重装備感はやはり昔の方がいいなーと思ったりも。

でも……Ωは「公式続編」という別の意味でキツイ。あれがその後の話で確定してしまうわけだし。昔のアニメオリジナルだったらまだスルーできたんだが……

今の目でみると問題があったりするのは理解できるが、それでも自分は最初のアニメ版が好き。ツッコミ所が多いのは否定しないし、ストーリーの整合性は無い、それどころか前の設定をすぐに覆すこともよくあるが、燃える展開ではあるし、娯楽性ということに関してはやはりスバラシイものがあると思う。

これは聖闘士星矢に限らない話だが、昔の作品って作画が一定しない所があるよね。しかも普通に質の悪い所と、作画担当者のクセが出ているっぽい所があるから今の感覚で見ると結構疲れる。昔のことを考えると、今の作品の作画崩壊とかそんなに気にしないでもいいように思うんだが。

ポスターや、動かないセル画で良い所だけ抜き出していれば美しいけど、動かしてみると結構アレなことになっているシーンもあるね。記憶が美化されていたのを実感する。まぁでも、中にはスゴイ作画のシーンもある。それと自分の日本語能力が上がって子供の頃に見た中国語吹き替え版ではないオリジナル音声で作品を見れたというのは収穫だった。

今でも認められる優れた所のある作品だと言っても、やはり昔の作品だし、現在の感覚ではヘンに感じる所も少なくない。現代の作品からオタクになった若者に薦めるのはちょっと厳しいよね。ただそれでも、あの作品のような熱さを持った作品は今の時代にもなかなか無いと思ってしまうね。

とまぁ、こんな感じで。

Saint Seiya figures
Saint Seiya figures / Stéfan


■最古の中国人オタク・星矢ファン

改めて現在の感覚で確かめてみると、結構アラが目立ったりするようですが、それでも思い入れはありますし、昔の作品独特の勢いのある所なども嫌いになれないようですね。

「聖闘士星矢」は30代前後となる、中国オタクの最も古い世代のファンがついている作品ですし、ファンの間でも昔からの思い出がいろいろとあるようです。また、そういった思い出に関して「思い出補正による記憶との差」をネタにして楽しめるようなレベルにもなっているようですね。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2012年9月20日付記事を、許可を得て転載したものです。

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