中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。

2012年10月11日

1Q84 / chinnian
2012年10月11日発表のノーベル文学賞。中国の大物文学者・莫言と日本の村上春樹が有力候補と報じられていた。尖閣問題もあいまってか、中国では日中文学バトルやで!と盛り上がる報道も少なくなかった。最終的に莫言氏がノーベル賞をゲットしたことで、喜んだ中国人も少なくないはずだ。
ただ莫言氏と春樹、読んだことがあるのはどっち、という話になると、意外と自国の大作家よりも春樹に軍配が上がるのではないか。東方書店ウェブサイトに中国の書籍事情を伝えるコラムコーナーがあるが、そこで取り上げられた春樹ネタを見ると、10年にわたり持続している中国における村上春樹人気の高さがよくわかる。
上海便り 2002年05月 村上春樹ブーム再燃
北京便り まだまだ続く“春樹ブーム”
北京便り'10/07 村上春樹の『1Q84』、中国本土の評判は?
中国で著名な日本人作家と言えば、ぱっと思いつくのは村上春樹、渡辺淳一、山岡荘八「徳川家康」、東野圭吾といったあたり。中でも春樹の人気は別格で、海賊版本屋でも常連だ。激安だが、品揃えは正規書店に負ける海賊版で常に作品が置いてあるのは大衆人気が高いという証明だ。
主要著作を1冊に圧縮した村上春樹スペシャルといった海賊版まである。縮小印刷することで1頁に4頁分をぶっこむという荒技。読むと目が痛くなるひどい本だが、そうしてまで読みたいという需要のあらわれでもある。まあ、今はちょっとネットを検索すると海賊版が見つかってしまう時代。海賊版書店にも厳しい時代となった。
ところで気になるのはなぜ村上春樹は中国でこれほど人気があるのかという点。上記東方書店コラムによると、村上作品の翻訳第一人者である林少華氏(中国海洋大学教授)は次のように分析しているという。
①文章の美しさ②孤独感③隠喩の追求④悟り(理解)の深さ