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*見事、今回「ミスヒマラヤ」に輝いたシッキム出身のリンチェン・ドルマ、23歳。
2012年10月13日、ダラムサラでは「第一回ミスヒマラヤコンテスト」が行われた。企画したのは「ミスチベットコンテスト」と同じく、写真家・イベント屋のロプサン・ワンギェルである。恒例の「ミスチベット」を、相次ぐ焼身に考慮し中止にしたが、その代わりに「ミスヒマラヤ」というものを考え出したのだ。ミスヒマラヤなら人々の顰蹙を買うこともないであろうと読んだのだ。
だが、コンテスト最終日の昨日、再びチベットで焼身があった。これには流石のロプサンもショックであったことであろう。彼は開会の挨拶の最初に「今日もチベットでは焼身抗議があり、アムド、ツゥー(ツォエ)のタムディン・ドルジェ氏が亡くなった。悲しいことである。このミスヒマラヤもその主な目的はチベット問題を訴えることである。その方法の1つと見なしている。まず、最初にこれまでにチベットのために命を投げ打った人々のために、1分間の黙祷を捧げたい」と述べた。
舞台の上で黙祷中の雪獅子とヤク。目がうまくつぶれない……。
挨拶する、自称、ダラムサラ一の色男。さすが、年のせいか、最近は勢いが衰え気味。
エントリーしたのはこの5人。左からシッキム出身のリンチェン・ドルマ(23)、シッキムのクンガ・ツェテン(19)、シッキムのアンネ・ノルブ・ブティア(19)、地元カングラのラッチナ・ディンマン(19)、スピティのティンレー・ヤンチェン(22)。
ロプサンは「今回、チベット人が誰もエントリーしていないのは残念なことだ」と言っているが、ラッチナ・ディンマン以外はみんなチベット族であることは間違いない。シッキムもスピティ谷もインド領なので、チベット本土出身者、または亡命チベット人のエントリーがなかったという意味であろう。
午後6時開演という話であったが、実際に始まったのは7時半ごろ。会場となったTIPAはマクロードよりもっと上。夜は冷え込み、始まらないショーにブーイングも。最初のころは観客が非常に少なかった。マクロードでは同じ頃、昨日の焼身を受けキャンドル・ライト・ヴィジルが行われていたので、そちらに参加した人も多かったと思われる。ヴィジルが終わってこちらに向かった人も多かったのか、最後の頃には会場はほぼ埋まり、1000人弱の人が集まっていた。
ダラムサラは小さな田舎であり、娯楽と言えるようなものは限られている。それでも、一連の焼身が始まる前には歌や踊りのイベントは割と沢山あった。しかし、それも焼身が始まってからは、自粛モードに入り、イベントと言えば、政治的集会や法王のティーチング、一番多いのは焼身者を弔うヴィジルと追悼法要。若者たちはたまにはこのような派手目の明るいイベントを見たいと思っているということも理解できる。
ではあるが、今回は焼身のニュースと重なり「悲劇の陰がさす、ほろ苦いイベント」となったようだ。
この日の審査は3つの部門に別れ、最初「自己アピールのスピーチ」、その次に「それぞれの民族衣装を着て、ウォーキング」、最後に「審査員の質問に答える」であった。写真はカングラ谷の美女、ラッチナ・ディンマンのスピーチ。他の女性たちはみんなスピーチだけだったが、彼女はついでに歌と踊りも披露した。
スピティ谷の美女、ティンレー・ヤンチェン。ちょっとインドが混じっているような可愛い子ちゃんである。
シッキムのリンチェン・ドルマは可愛いというのではなく、純粋に知的雰囲気のある美人。チャンディガール大学の学生さんである。
最初から、私は彼女が気に入り、きっと一番になると思ってた。この頃になるとメディア仲間で誰が一等になるかの賭けが始まっていた。人それぞれ、お気に入りが違うのが面白い。
イベントの段取りが悪い。最後の審査結果がでるまで、相当時間が掛かった。そこで主催者、「だれか飛び入りで歌や踊りをやる者はいないか?」とアナウンス。外人が踊ったりしてた。これは合間にチベット人がお面をかぶり、ラップダンスを披露したというもの。なかなかうまかった。
結果発表。1位シッキムのヤンチェン・ドルマ、賞金10万ルピー(約16万円)。2位(右手)カングラのラッチナ・ディンマン、賞金5万ルピー。3位(左手)スピティのティンレー・ヤンチェン、賞金2万5千ルピー。に、決定。みんな、如何にもそれぞれの谷を代表するような顔立ちでよろしいかと。
優勝クラウンを頭に載せ、喜ぶリンチェン・ドルマ。賞金はチャンディガールの貧しい子供たちのために使うそうだ。
おまけの一枚。
今回1つ物足りなかったことは、ミスチベットでは必ず全員「歌と踊りのコンテスト」があったが、今回はなかったことだ。チベット人女性なら歌って踊れないとダメというわけだが、ヒマラヤにはこれが要求されなかった。
ロプサン、今回はスポンサーも付かず、寄付も少なくて赤字だったようだが、これにめげず次回も頑張ってもらいたい。
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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2012年10月14日付記事を許可を得て転載したものです。