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「夫婦けんかが原因で焼身自殺しました」中国政府が遺族に書かせようとした手紙―チベット(tonbani)

2012年10月19日

■焼身の原因は「夫婦仲」と言えば100万元やる■


夫婦善哉
夫婦善哉 / othree


中国のチベット支配に焼身抗議し、死亡したサンゲ・ギャンツォ。中国当局は「夫婦ゲンカが原因での自殺」にするよう遺族にもちかけたという。17日付Tibet Timesチベット語版が伝えた。


2012年10月6日正午、アムド地方ツゥ(ツォエ 合作)から約10キロ離れたドカル僧院でのこと。同院仏塔前でサンゲ・ギャンツォ(27)は「ダライ・ラマ法王をチベットに!チベットに宗教と言語の自由を!」と叫び焼身、その場で死亡した。

RFAに現地から寄せられた情報によると、警官と役人が悲嘆に沈む遺族を訪ね、「サンゲ・ギャンツォの焼身は中国政府への抗議ではなく、夫婦仲が悪くなったことを苦にしたもの。そういう内容の手紙を書き署名すれば、100万元(約1250万円)与えよう」と持ちかけたという。

妻はこの提案を断固拒否。「サンゲ・ギャンツォは家族をとても大事にする人だった。年寄りも含め、みんな彼の働きにより生活していた。彼の焼身は夫婦仲とは全く関係ない」と明言したという。

焼身抗議者をおとしめるのは中国政府の常套手段だ。「犯罪者」だった、「女を買うようなぼんくら僧侶」だった、「異性問題」に悩んでいた、「夫婦仲」「嫁の両親との仲」が悪かったことが原因だ……うんぬん。中国の圧政が焼身の原因であるという事実をごまかすためだ。こうした嘘は悲しみの中にある焼身者の家族、そしてチベット人の心を逆なでする。

今回は大金をちらつかせながら家族を買収しようとした。金で人の心を買えると思うのが中国当局だ。たとえ金で買ったウソの手紙であろうとも、中央政府に良い報告ができるならばいいということなのだろう。100万元といえば大金だが、上の歓心を買うためならば安い出費ということか。

まあ拷問の末に無理やりサインさせられなかっただけでも幸いなのかもしれない。

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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2012年10月17日付記事を許可を得て転載したものです。

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