中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年10月26日
*メンダ郷ブヤ僧院。
チベット自治区チャムド地区チャムド県メンダ郷(昌都県面達郷)にあるブヤ僧院。僧侶70人以上が還俗を強制されるなど、さまざまな嫌がらせを受けている。2012年10月19日、RFA英語版が伝えた。
発端は今年3月。ブヤ僧院は焼身抗議者を追悼する法要とダライ・ラマ法王の長寿を祈る法要を行った。法要を先導したとして僧院の読経師である僧ジャミヤン・イシェと僧ドゥプギュが連行された。今も行方不明のままである。
2人が連行されて終わりではない。ブヤ僧院は法要以来当局の弾圧の対象となり、様々な嫌がらせを受けているという。
「『違法にも』僧院の外で一般人に対し仏教を説いたこと、この地区で人気が高まっている『チベット語学習』の活動にたずさわったことも糾弾されている」と報告者は語る。
3月10日には僧院に中国の役人が来て、僧侶たちに中国国旗掲揚を強要した。この時、僧侶たちは「態度が悪い」ことを理由に、酷い暴力を振るわれた。そして「70人以上の僧侶が強制的に還俗させられ、僧衣を着ることが禁止された。その他、僧院で授業を行う事が禁止され、僧院長を僧院に近づけさせない等の嫌がらせを受けている」という。
この僧院の上級教師であったトゥガ・リンポチェ(64)が重い病に倒れた時、当局は彼が病院に行くことを許さなかった。そして、リンポチェは治療を受ける事ができないまま8月16日に亡くなってしまった。
また、僧院と周辺の民家には「中国の偉大な指導者たち」というポスターを掲げなければならないとされ、「これに従わないものは、法を犯したものと見なされる」という。
このメンダ郷は、去年の末から弾圧が続き焼身者も出たカルマ郷に近い場所にある。
関連記事:
「600万チベット人の英雄だ」東チベットの人々に焼身抗議について聞いてみた(tonbani)
チベット人焼身抗議の思想的背景を考える=チベット仏教と愛国教育(tonbani)
チベット人僧侶が語った焼身抗議と弾圧=キルティ僧院でなにがあったのか?(上)(tonbani)
チベット人の焼身抗議を理解するために=転生ラマの遺言(tonbani)
「自殺では現実を変えられない」チベット人作家ら焼身抗議の中止を呼びかけ(tonbani)
*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2012年10月21日付記事を許可を得て転載したものです。