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2012年10月27日
*燃え尽きるツェパック・キャプ。
■相次ぐ焼身の知らせ
2012年10月26日午後9時半頃(インド時間)、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のツェリン・キさんがツイッターに「今日さらにサンチュで1人、カムで2人が焼身抗議した」と書き込んだ。26日午後にはサンチュでラモ・ツェテンさんが焼身している(関連記事)。このつぶやきが事実ならば1日に4人が焼身するという異例の事態だ。
追記:カムでの焼身は26日ではなく25日に起きたことであると判明した(関連記事)。つまり1日に4人ではなく2日に4人だったことになる。
「まさか!誤報であってほしい」と固唾を飲んで続報を待った。そして午後10時にVOAは「カム地方ディル(チベット自治区ナクチュ地区ディル県)のパンカル僧院付近で2人が焼身」との記事を掲載した。と伝えた。焼身者の1人はトゥトップ、40歳前後の男性で、すでに死亡という。もう1人は氏名、生死ともに不明なままだ。
■1年前に結婚した妻を残しての焼身
またTibet Timesがこの日4人目の焼身を伝えた。現地時間午後8時頃、サンチュ県サンコク郷の旧クンヘバス停(བསང་ཁོག་ཞང་ཀུང་ཧྲེ་རྙིང་པའི་རླངས་འཁོར་འབབ་ཚིགས་)でツェパック・キャプ(ཚེ་འཕགས་སྐྱབས་)という21歳(VOAによると23歳)の若者が焼身し、その場で死亡したことを報じた。ツェパック・キャプは焼身しながら「ダライ・ラマ法王をチベットに!」「パンチェン・ラマを含む政治犯を解放せよ!」と叫んだという。夜遅かったことから警官が駆けつけるのが遅れたが、チベット人たちが焼身者の回りを囲み、警官が中に入るのを防いだという。その後、遺体は家族の下に届けられた。
彼にはドルジェ・ドルマ(18)という奥さんがいた。2人は1年前に結婚したばかりだったという。ツェパック・キャプはサンコク郷ルミン村ルモ・キャプの息子であるが、後にセルティ村ゴンポ・キャプ家の養子となっていた。
21日の内に4人も焼身するということはもちろん初めてのことだ。これから益々焼身者が増えるような気がして恐ろしい。これでチベット本土の焼身者は64人となった。
参照記事:26日付Tibet Timesチベット語版、26日付VOAチベット語版、26日付RFAチベット語版
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*本記事はブログ「チベットNOW@ルンタ」の2012年10月27日付記事を許可を得て転載したものです。