■汪洋お膝元の広州で危険度満点の展示会開催■
■天安門事件の写真を堂々公開
2012年11月8日に開幕する十八大(中国共産党第18回全国代表大会)で習近平体制の最高指導陣、中央政治局常務委員が決まります。枠が現行の9人から7人に縮小されることが濃厚なのですが、当確と言われていた汪洋・広東省委書記がほぼ落選確実な情勢です。薄熙来と対立していたのが失点だったのか、長老ウケが悪かったのが問題なのか……。
さて、その汪洋さんですが、かなり可燃度の高いイベントにゴーサインを出してしまっています。広東美術館という公的な場所で、中国政府がいかに写真をねつ造してきたかをはっきり示す企画展が開かれています。なんと御法度の天安門事件の写真も展示されています。
参照記事:
広州、禁を破って六四戦車写真を展覧会にさらに公式写真も改ざん責任者「審査済み」(明報 2012/10/27)
広東芸術展貴重な六四鎮圧写真も(りんご日報 2012/10/28)
■見たことのないもの
広東美術館で先日から開催されているのが第4回広州三年展という企画展。「
見たことの無いもの」をテーマに280枚の写真が展示されていたのですが、なるほどこれは確かに中国では見られない写真でしょう。というのも、中国のプロパガンダ報道が使った修正写真とオリジナル写真とを並べるという意欲的な展示なのです。
主催者は北京在住の芸術家・張大力さん。ちなみに天安門事件を期に出国し、イタリア人女性と結婚。今はイタリア人となっています。これまでも何度か「本当の写真」と「改ざんされた写真」を並べるギャラリーを開いているよう。今回の展示会では「軽々しく写真を信じてはならない」がテーマだそうです。

*天安門事件の写真「タンクマン」(左)とその修正版(右)。
一番論議を呼んでいるのは1989年の六四天安門事件で一番象徴的な写真。すなわち戦車とその前に立ちはだかる青年を捉えた写真です。「無名の反逆者」とか「タンクマン」と呼ばれているあれです。中国ではそもそも六四天安門事件自体が100%アウトなので、この写真などは200%アウトの代物です。
ちなみに天安門事件だとまずいということなのか、英語で「北京事件」というキャプションをつけているだけだそうですが、まあ見ればばればれ。修正されたバージョンはカルフォルニア大学が提供したもの。道路の両脇に群衆を配し、戦車隊を歓迎しているかのような写真になっています。どこで何に使われたものでしょうか。
■「子どもが乗っても倒れない」と「消えた劉少奇」
中国の写真修正と言えば、大躍進期の稲穂が密集して育ちまくり、「子供が乗っても倒れない」が有名ですね。

他にも毛沢東、劉少奇、林彪の3人が写っていた写真から、劉少奇が失脚しては消され、林彪も失脚しては消され、ついに毛1人だけ残った。劉少奇の名誉回復が成された後は劉が復活して毛とのツーショットに。なんていう写真もあります。当時の慌しい政情を理解する1枚です。