Multicolored traffic jam in Bangkok / Christian Haugen

■初めての自動車購入者に減税措置

インラック･タイ貢献党政権のポピュリスト政策のひとつに、初めて車や家を購入する人に減税措置を与えるというものがある（昨年9月よりスタートし今年末まで）。

政策の後押しもあり、2012年のタイの自動車生産台数および国内販売台数は、史上最高値を大きく更新するだろう。乗用車及び軽トラック生産高だが、受注残も高く減税効果も見込めるため、史上初めて年200万台を突破する見通し。おそらく235万台ほどに達するだろう。世界の自動車生産国ベストテン入りが見えてきた。

2011年は、洪水の被害でタイの自動車生産高は146万台（前年比マイナス11％）と落ち込んだが、今年は前年比6割増のV字回復を果たすことになる。また従来の最高値である2010年の165万台と比べても、4割増という大幅な伸びだ。

自動車生産の原動力となっているのは国内需要。輸出の伸びはプラス15％とほどほどなのだが、国内需要の前年比5割増という猛烈なペースで伸びている。年間では7～8割増の需要増となろう。


■予想通りの弊害も、渋滞悪化

以前にも指摘したように、この大衆迎合的な政策は大きな問題を抱えている。

私の住むチェンマイの街でも、ナンバープレートのない車や、仮登録を意味する赤いナンバープレートの新車がやけに目立つようになり、渋滞が悪化している。

そのため、陸運局ではナンバープレート用の番号が不足している。今後は頭のタイ文字2字の前に1とか2とか数字をつけて、桁を増やすことになるとも言われている。

タイには、1000万台以上の自動車が走っているが、今年の新規登録が140万台ほどに上るとすると、一日平均3800台ほど新車が出回ることになる。バンコクで1日当り2300台、チェンマイでも1日230台ほどの新車が出てくることになろう。

狭いチェンマイの街で、一日230台（廃車もあるから純増は100台ほどだろうか）の車が出てくるとすると、1ヶ月あたり7000台近く（純増で3000台ほど）、年間8万台以上（純増で3万6千台ほど）増えるわけだ。65万台ほどの自動車が存在するはずのチェンマイの街の渋滞は増すはずである。

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＊本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年10月28日付記事を、許可を得て転載したものです。