iPhoneの「エロすぎ!暴力的すぎ!」問題が中国で話題となっている件について。2012年10月29日付
新浪網を主に参照した。
メンツ消費の国・中国。かっこいい携帯電話は絶好の見せびらかしアイテムであり、iPhoneはその頂点に君臨している。新型iPhoneが発売されるたびに輸入代行業者がニューヨークに行列を作り、深圳のパチモノメーカーが「史上最速ニセiPhone完成」を競い、普通のお店が「超お得!抽選で今度発売されるiPhone5が当たります!」とセールを打つ(ちなみにこの時に発売されたiPhoneは5ではなく、4Sだった。お店がお客様にどう説明したかはナゾ)。
中国でもっとも貴ばれている携帯・iPhone。たんにオシャレなだけではなく、かゆいところに手が届く便利な機能も素晴らしいわけだが、10月中旬、「便利すぎてあかんで!」と話題になってしまった。問題となったのは音声アシスタント・Siriだ。
Siri:こんにちは。なにかお手伝いはありますか?
ユーザー:買春してぇ!
Siri:承りました。15個所の「三陪」が見つかりました。
「三陪」とはもともとカラオケなど娯楽施設、おしゃべり・食事・ダンスなどをつきあってくれる女性を指していた。が、今ではおしゃべり・食事などに加え、「寝る」のも付き合うという意味になった。手持ちの中日辞典を引いてみたら「寝る」の意味は書かれていない。「買春したい」で「三陪」と返すとは、Siriちゃん、俗語にも精通してえらいねと褒めるポイントかもしれない。
とはいえ、エロはご法度の中国においてこれは大胆すぎる機能。しかも「三陪」サービスのある施設として名指しされているのはいずれもナイトクラブ。紳士・淑女の社交場であり、「三陪」サービスは提供していないことになっている。もし建て前のサービス内容に騙されず、真実のサービスを見通しているのだとすれば、Siriちゃんやっぱりさすがである。例えば警察がSiriちゃんを使いこなすと、「今日はどこを摘発しよっか」と悩んだ時に一発解決してしまうということか。
まあこれは冗談。アップルもスマート売買春を実現するためにSiriを開発したのではないだろう。言葉の意味や解釈を機械的にひもづけていくうちに、「三陪」=エロ、夜総会=エロといった学習をしてしまい、こんなおもしろい応答ができるようになってしまったのではないか。
というわけで、iPhoneの「很黄很暴力」(エロすぎ、暴力的すぎ)問題がちょっとした話題に。「很黄很暴力」というのはかつてCCTVのグーグル批判番組で使われて以来、長く中国ネット界を生き残っているスラング。番組では「グーグルでエロ情報を検索しまくって学校の成績が急落。大変なことになった同級生がいました」「グーグルはエロすぎ、暴力的すぎ」とそんな感じの文脈で使われていた。数年の時を経て、アップルがグーグルの後を追うことになろうとは……。まあグーグルとは違い、中国当局と結構仲良しなアップルだけにCCTVに叩かれることはなかったのだが。
で、ようやくSiriもこの問題への対応が終わったという。
Siri:こんにちは。なにかお手伝いはありますか?