中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年11月09日
*ドルマ広場に横たえられたチイパ・ギャンツォ。
■ケルサン・ジンパの死
2012年11月8日、アムド地方レゴン(レプゴン 同仁)で、1人のチベット人若者が焼身し死亡した。なんと1日に5人が焼身した7日に続く連日の惨事となった。これでチベット本土(内地)の焼身者は71人目である。8日付Tibet Timesチベット語版、8日付phayulを参照した。
質問:今日から行われる「十八党大会」と昨日の5人のチベット人焼身の関係は?僧ツェリン:もちろん、関係あると思う。中国政府は全国で今回の大会を大きく宣伝している。TVでも連日報道されているであろう。また、この大会に合わせ、チベットではどんな小さな村でも監視が強化され、弾圧が強くなっている。その異常さを見れば、だれでも大会がある事がわかるであろう。今回の5人の焼身は、一カ所の話ではない、アムドのレゴンとンガバ、自治区のディル。距離も離れている。焼身した人も僧侶、遊牧民女性、他1人は不明だが、俗人男性といわれており、僧侶・俗人・男女と様々だ。つまりこれはチベット人地区全体の様々な人々が命を掛けて訴えているということだ。中国政府はこれまで、焼身を限られた地区の限られた人々の行動といっていたが、そうではないことの証拠だ。中国はいつも、チベット人初め全ての少数民族は幸せに暮らしていると宣伝しているが、そうではないという事、嘘であることを示している。「十八党大会」に参加する習近平を始めとする全ての指導者、大会に参加する全てのチベット人を含めた中国人に対し、「チベットの人々は決して幸せになど暮らしていない。自分たちは弾圧されていて、自由がない。ダライ・ラマ法王がチベットに帰還されることを心より願っているが、叶えられない」ということを訴え、チベットの現状を調査することを求めているのだ。その事をなにか書面に書いて政府に訴えることもできず、抗議デモをする事もできず、これを訴える方法として、直接何よりも大事な掛替えのない自分の命を捨てて訴えるしかないのだ。600万チベット人のために訴えているのだ。質問:これからも大会中に焼身があると思うか?僧ツェリン:もちろん、あり得るだろう。中国がチベットの現状に対し、嘘をつき続ける限り続くだろう。焼身者の訴えを無視し続ける限り続くだろう。相次ぐ焼身を受け、内地のチベット人たちの気持ちは高まっている。無視され続けるに従い、益々高まり、これから恐ろしいことになるかもしれないと危惧している。