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2012年11月13日
2012年11月12日、アムド地方レゴン(レプゴン 青海省黄南チベット族自治州同仁県)ドワ郷で、チベット人による焼身抗議が2件起きた。2人が死亡。レゴンでは7日、8日と2日連続で焼身抗議が起きたほか、9日には数千人規模の学生デモが起きている。事態を収拾するべく、現地に大規模な軍が派遣されたとの情報もある(読売新聞)。
■1人目の犠牲者
1件目の犠牲者はニンカル・タシ(24歳)。12日付チベットエクスプレスが伝えた。中国政府官僚が11日、12日と連続でドワ郷を訪問し、「焼身は違法行為」と演説していたというが、12日の演説中に焼身した。火に包まれながら「ダライ・ラマ法王の長寿を!チベットに自由を」と叫んだという。
当局はニンカル・タシの遺体を持ち去ろうとしたが、現場にいたチベット人が阻止。遺体は家族の元に届けられた。事件当時、ドワ郷には7日に焼身したタムディン・ツォ、8日に焼身・死亡したケルサン・ジンパの家族を見舞う弔問客が多く集まっており、当局に抵抗したという。
なお現地住民によると、ニンカル・タシの焼身の理由は、黄南チベット族自治州のチンフウ・ティン委書記の禁令が原因だと話している。書記はドワ郷にのりこみ、「ダライの写真を掲げてはならない」などと命令した。またロンウォ僧院にも出向き、法王の写真を掲げる事を禁止した。地元では悪い官僚だと悪評が立っている。
■官僚と地元住民のやりとり
なお前日、11日に中国官僚がドワ郷を訪問した際、次のようなやりとりがあったという。訪れた官僚は「焼身の理由はなんだろうか?これからも続くのだろうか?住民や基層官僚はどう考えているのか?」と質問した。その際、地元の役人として15年間働いているというタクラというチベット人がこう答えた。
私はみんながどう思っているのかは分からない。しかし、私が思うに、チベット人が焼身する主な理由は『ダライ・ラマ法王の写真を掲げる事が禁止され、方法に祈ることも禁止されていること。ダライ・ラマ法王がチベットにお帰りになれない事。パンチェン・リンポチェの生まれ変わりが獄に繋がれたままであること。チベットに自由がない事』であると思う。