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2012年11月15日
Bangkok 2011 / mikiane
再選された米国オバマ大統領は、今週末(11月17~18日)にタイ、そしてミャンマーを訪問し、その後にプノンペンで開かれる東アジア会議に参加する予定だ。タイ政府はこの機会にアメリカの主導するTPP(汎太平洋パートナーシップ)への参加表明を発表する手はずになったようだ。
TPP交渉参加国11カ国中、4カ国(シンガポール、マレーシア、ブルネイ、ベトナム)はASEAN。タイの参加も避けては通れないように見える(関連記事)。
もちろんタイでも反対論は強い。いわく、タイはサービス産業が未発展だからアメリカの金融機関に席巻されてしまうと言うおそれ。また、TPPはアメリカの中国封じ込めの戦略だから、これに協力するものとなる、など。
TPPは中国の参加さえ歓迎しているとも言われるが、今のところ中国の参加は難しそうだ。
タイが一番心配しているうちのひとつは、アメリカの自国の医薬品産業保護政策だろう。医薬品パテントの切れる時間をなるべく延ばし、米国医薬品業の利益を伸ばすのが、米国の戦略の一つのはずである。はやく議論に参加して異論を唱えないと、米国の思うままに進んでしまう可能性が高い。
日本も、野田政権が最後をかけて、年内には参加公式表明をしたいようであるが、さてどこまで政治指導力があるのだろうか。早く議論に加わっていないと、いずれ自国の利益を守れない約束に縛られるかもしれない。11月18日のバンコクが注目される。
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*本記事はブログ「チェンマイUpdate」の2012年11月14日付記事を、許可を得て転載したものです。