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■結果発表
中国共産党第十八期党大会、いわゆる十八大が終了しました。翌日メディアの前に登場した常務委員メンバー7名は、結局以下のようになりました。(カッコ内の数字は満年齢、役職のカッコ付きは来年3月に就任予定のものです)
序列1位 習近平(59) 総書記・(国家主席)・中央軍事委員会主席
序列2位 李克強(57) (国務院総理)
序列3位 張徳江(66) (全人代委員長)
序列4位 正声(67) (全国政協会議主席)
序列5位 劉雲山(65) 中央書記処常務書記
序列6位 王岐山(64) 中央紀律委員書記
序列7位 張高麗(66) (国務院副総理)
■MVPは明鏡
各メディアの中で、この面子をいち早く予測したのが明鏡新聞。1ヶ月前の10月16日に、この面子を正確に伝えました。
その後も色々と報道があったので、決してこの時点で全てが決まっていた訳ではないと思いますが、それでも有力と言われていた李源潮が外れたという情報は出色(明鏡獨家:驚傳李源潮從常委名單中被剔除(10/9)
)。胡錦濤不利の形勢をいち早く伝えたスピードと、25名の中央政治局までほぼパーフェクトに当てそうな正確性は、UJC的十八大予想のMVPを贈呈するに相応しい活躍と思います。明鏡偉いっ!何頻凄いっ!(以上で贈呈式を終了します)
MVPとまではいきませんでしたが、サウスチャイナ・モーニングポストも11月に入ってからの情報は凄まじいものがありました。明鏡に続いて十八大前から保守派の勝利を報じ、さらには胡錦濤の中央軍事委員会主席からの引退もいち早く報道。
中共新领导层保守派占多数(サウスチャイナモーニングポスト 11/2)
胡锦涛将辞去军委主席职位(サウスチャイナモーニングポスト 11/12)
これに加え、明らかにある筋からのリークと思われる、フェラーリ事件以降の令計画絡みの報道は、権力闘争の恐ろしさに恐怖すら覚えました(令計画の中央委員落選はさすがに外しましたが、得票数が多くなかったことはさりげなくリーク)。これから団派の失脚報道はここをチェックしたいと思います。
■その他大勢
従来より定評のあった予測筋では、多維新聞は早々に予測を立ててからは「どうせ変わるし」という建前で静観を決め込み、分析に注力したご様子。明報も安全運転と交通整理に重きを置いたように思えます。博訊網は投稿型ゆえか、予想にぶれが大きかったですね。ニューヨークタイムズは、スタア銭ゲバ家族の財産調査に手間とカネをとられたのでしょうか。それでも随所で光る分析がありました(李克強と王岐山は政策的に折り合いが悪いから副総理はない、汪洋は広東で改革改革したけど、葉剣英ファミリーの利権には殆ど手をつけられていない、等)。
■日本の報道 朝日VS産経
我が国の中国報道ですが、目立ってこれ!というインパクトのある報道はなかったように思われます(有料でみてないので、漏れがあったら容赦下さい)。最終盤で出てきた「胡錦濤完全引退の内幕」についての朝日・峯村記者(老害と刺し違えた説)VS産経・矢板記者(四面楚歌だった説)の報道は、今後に乞うご期待!です。
胡錦濤総書記、完全引退へ 江沢民氏の影響力も排除(朝日新聞 11/15)
胡錦濤氏、軍人事で主導権 完全引退の見返り(産経新聞 11/15)
それと細かいネタですが、時事通信の「会見場の床の立ち位置に貼られた目印(業界用語で"バミ"といいます)が7つだから、常務委員は9名⇒7名で確定だ!」には爆笑させていただきました(時事通信「政治局常務委は7人=記者団の前に登場へ-中国」リンク切れ)。とても鋭い着眼点なんですけどね、バミって、バミって、、、(悶死)
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とまあ、この1ヶ月に色んなメディアの中国情報を堪能させて頂きました。いちパンピーが偉そうにメディアの評価付けをしましたが、どのメディア情報も、記者さんが生活や矜持をかけて情報を発信したものです。心の中では等しく感謝をしつつ、これからも情報収集に励みたいと思っております。
余談:もし「差額選挙」が常務委員&中央政治局で実現して団派が大逆転でもしてたら、オイラ的MVPはフィナンシャルタイムズでもヴィレ・ドイチェでもロイター通信でもなく、大紀元になるところでした。。。一切ソースには出しませんでしたけどね。
※中央政治局25名が出た段階で、一人反省会その2~これからどうなる篇~を行うつもりです。常務委員リストだけみれば胡錦濤惨敗ですが、こいつ元々バランサーだし、中央政治局まで広げると全く別の構図が見えるんじゃないの?という話です(ネタバレ三行)。
*本記事はブログ「The Useless Journal of CHINA」の2012年11月15日付記事を許可を得て転載したものです。