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胡錦濤大惨敗の十八大=敗因は“汚れ役の右腕”の不在(水彩画)

2012年11月16日

■胡錦濤惨敗の人事■


■政治局常務委員人事にみる胡錦濤の惨敗

2012年11月15日、習近平体制の最高指導陣である中国共産党中央政治局常務委員が発表されました。

午前11時ごろという緩い時間設定だったお披露目。結局12時近くまで押した結果、お披露目よりも先に速報が出てしまいました。習近平総書記、中央軍事委員会主席の誕生であります。速報はその他6人の顔ぶれと序列の発表がありました。

常務委員の序列は習近平、李克強、張徳江、兪正声、劉雲山、王岐山、張高麗となりました。王岐山はさっそく本日開かれた中央紀律検査委の会議で、書記に就任しております。

習近平(59) 党総書記、中央軍事委員会主席、(国家主席)
李克強(57) (国務院総理)
張徳江(66) (全人代委員長)
兪正声(67) (全国政協主席)
劉雲山(65) 中央書記処常務書記、(中央精神文明委主任)
王岐山(64) 中央紀律検査委書記
張高麗(66) (国務院常務副総理) 
カッコ内は就任予定のポストです。

李克強が序列第二位となっていますが、まさか全人代委員長に就任?!というのはありえないシナリオでしょう。それでは首相候補と噂されていた王岐山を紀律委に追いやった甲斐がありません。国務院を全人代より優位に立たせたのが、今回の人事における胡錦濤唯一の功績といえます。

年齢を見れば一目瞭然ですが、トップ2以外は一期5年間で定年。5年後には政治局委員に昇格した第五世代が食い込んでくるのは明らかです。また、常務委員が7名に減少したことで、政法委書記が政治局管轄に格下げされています。劉雲山が常務委員になりましたので、宣伝部門は常務委員が引き続き監督。国家副主席が格下げになりそうです。


■政治局委員でも惨敗

常務委員を除いた政治局委員を紹介します。なお、68歳以上の政治局委員である、王剛、王楽泉、王兆国、回良玉、劉淇、徐才厚、郭伯雄は引退となっています(新華社)。

馬凱(66)国務委員、国務院秘書長
王滬寧(57)中央書記処置、(宣伝部長)
劉延東(67)国務委員
劉奇葆(59) 中央書記処書記、四川省委書記
許其亮(62) 中軍委副主席
孫春蘭(62) 福建省委書記
孫政才(49) 吉林省委書記
李建國(66) 全人代副委員長、秘書長
李源潮(62) 中央組織部長
汪洋(57) 広東省委書記
張春賢(58) 新疆ウイグル自治区党委書記
范長龍(65) 中軍委副主席
孟建柱(65) 国務委員、公安部長、武装警察第一政治委員
趙楽際(55) 中央書記処書記、陝西省委書記
胡春華(49) 内モンゴル自治区党委書記
栗戦書(62) 中央書記処書記、中央弁公庁主任
郭金龍(65) 北京市委書記
韓正(58)上海市市長

劉延東、汪洋、李源潮といった胡錦濤に近い人たちが政治局で足踏み。特に李源潮は直前まで有力視されていたにもかからわず、です。このままいくと政治局委員で足踏みを続け、最高ポストは全人代副委員長あたりどまり。という王兆国ルートになりかねません。

また、重慶市委書記入りとも言われていた周強が政治局入りを果たせず、胡春華と韓正、劉奇葆位しか子飼いがおらず、常務委員会でも政治局でも胡錦濤さん惨敗となっています。


■胡錦濤に足りなかった“右腕”

習近平に次期総書記を獲られた時点で、胡錦濤の狙いは次の次にあったことは明らかですが、それは実現したのか。はなはだ怪しい印象。

江沢民の右腕として政敵をバンバン倒していった曾慶紅のような人物が、胡錦濤にはいなかったというのも原因かもしれません。曾慶紅は江沢民引退後に常務委員入りしましたが、胡錦濤にそんな使える人物はいませんし、必要なポストも押さえていません。

驚きなのは、栗戦書が政治局委員に昇格している点です。弁公庁主任は温家宝の時代から政治局には出席できるものの、投票権はない候補委員のポストでした。逆にいうと、政治局委員と政治局候補委員の違いはそこだけしかありません。政治局候補委員と中央委員では雲泥です。

令計画が中央委員のままで、候補委員に押し込めなかった辺りに胡錦濤の限界を感じると共に、いきなり栗戦書を政治局委員に引き上げられる習近平さんは味方が多いのだと思います。


■中央書記処と中央軍事委員会

第18期一中全会、中央書記処成員通過(新華社 2012/11/15)」を参照。

杜青林(66) 全国政協副主席
趙洪祝(65) 中央紀律委副書記
楊晶(59) 国家民族事務委員会主任

という顔ぶれ。楊晶は戴秉国に替わる少数民族枠ですね(適当)。

中央軍事委員会名簿ですが、副主席の2人と、ヒラ委員の常万全、房峰輝、張陽、趙克石、趙又侠、呉勝利、馬暁天、魏鳳和で計9人。問題はヒラ委員7人の中に胡錦濤大先生に近い人間がどれだけ入っているのか。銃口から政権が生まれるのなら大逆転はここにあるはず。このあたりの解説を求めて、明日から香港紙を当たっていきますか。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年11月15日付記事を許可を得て転載したものです。

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