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お金もねぇ、コネもねぇ、顔もそんなにイケてねぇ!自虐的自称「屌丝」が流行語に―中国(百元)

2012年11月27日

■中国のネットで大流行する後ろ向きな言葉「屌丝」■

Mikimoto Xmas Tree(Ginza)
Mikimoto Xmas Tree(Ginza) / kanegen


■流行語「屌丝」の誕生

中国のネットでここしばらくの間爆発的に流行っているネット用語に「屌丝」(或いは「吊丝」)という言葉がありますが、ありがたいことにこの言葉についての質問をいただいております。この言葉は説明しだすとキリが無いような所もあるのですが、とりあえず例によって大雑把でイイカゲンな紹介をさせていただきます。

さて、この「屌丝」(diao si)ですが意味としては何と言うか、「貧乏で実家の力も無くて、現在も将来的にも家や車や恋人が持てず、未来に希望が持てない人或いは自分がそうだという自嘲」といったようなもので、日本で言う所の非モテや負け組に将来への不安をくっつけてイロイロとこじらせた人、或いは自分がそういう人間だという自嘲……という感じでしょうか。

比較的イメージし易い例えには「新時代の阿Q」というのもありますね。阿Qとの違いは自嘲的な所と、なまじネット等により情報だけが増えていることから、その情報の中で溺れたり沈んだりしている所でしょうか。
また、「高富帅」(日本語で言うなら金持ちでイケメンで実家がスゴイといった辺りでしょうか)が実質的に対義語となっているようです。

この言葉の発祥に関しては幾つか説があるようですが、とりあえず中国の百度の大型掲示板、「百度貼吧」内の雷霆三巨頭吧の住人が李毅吧の住人に対する呼称として使ったものが、魔獣世界吧などを通じて拡散したというのは確かなようです。(ちなみに、李毅は中国の非常にネタ度の高いサッカー選手でして、李毅吧もイロイロとネタの飛び交う所になっているのだとか。また「魔獣世界」は「World of Warcraft」の中国語タイトルです)

その後、この言葉のネタ性が中国のネットで大ウケして、現在は自称や他称として広まりに広まり中国のネットユーザーの多くが「ヤツらは屌丝だ」「俺が、俺たちが、屌丝だ!」とかやっている状況となっています。


*ジャーナリスト・古畑康雄さんの東方書店ウェブサイトでの連載「ネット用語から読み解く中国」で「屌丝」を解説しています。

「吊絲」(吊丝):収入、容姿、社会的地位が低く、社会的な疎外感を味わい、ネットでうっぷんを晴らしているような若者」といった意味、いわゆる「イケてない人」「負け組」。対義語は「高富帥」(高富帅・金持ちのイケメン)。

またこの連載をもとにまとめた書籍『「網民」の反乱 ネットは中国を変えるか?』も発売中です。



■ライト層に広がった「屌丝」

そして広まり使われていく中で意味や使われる範囲も変わっていきました。「屌」という字は男性器の俗称や罵倒語の一種などという意味がありまして、初期の頃は社会的に底辺レベルだとされる仕事に従事していて収入も彼女も未来への希望も無いという男性を指すネットスラングだったのですが、広まったあとは「低収入で恋人がいない男性」程度(しかも、この言葉を使っている人間の主観的な部分も強かったり)であれば使われるようになったり、「女屌丝」という形で女性に対しても使われるようになったりしていますね。

この広まりっぷりに関しては、「現在の中国は将来に希望を持てない人間が増え、自嘲や冷笑的な空気が蔓延しており、それに加えて期待しなければダメージもないということで、この言葉で自分にレッテル貼りをして最初からプレッシャーを避けようとする人間が増えているから」という指摘もあります。

また更に、収入が一定以上あるような人間でも「経済的なバックグラウンドやコネが無い」などといった場合は、自分は「屌丝」だと認識していることがあるそうです。

ちなみに中国のネットで見かける「他人から見た屌丝」というネタでは
・惰弱な性格だよ!言葉は悪いし、頭の回転は鈍いよ!
・心の中は善良だけど、自分と世界に対するきちんとした認識が不足しているね!
・愛を持っていない、後悔しながら妄想し、自分で「なんとかする」しかないんだ!
・仕事は底辺で苦しくて疲れる、収入はわずか、溢れるのは恨みだけさ!
・彼等にも夢はあるんだよ!でも自分で努力して実現しようとはしないけどね!
・彼等にも尊厳はあるよ!でもプライドはちっとも無いし、いつも人から与えてもらうことばかり望んでいるけどね!
といった感じになっています。


■自分のダメさを笑い飛ばす流行語「屌丝」

ただ、現在中国のネットでこの言葉が使われている雰囲気については、ここまでに書いた内容から受ける印象ほどネガティブなものではなく、実際はネタ混じりな所が強いですね。「どうせ俺達はこんなもんさ」といった軽いダメ自慢のような形で使われることもかなり多いように感じられます。

例えば、「屌丝は高級な美容室やオシャレな場所には入りたがらない。スターバックスなどに入った日にはどうすればいいか分からなくなる」といった、日本でも分かり易いネタもあったりします。

屌丝的な不安や不満のようなものは、誰しもが持っていたりするような部分だとは思うのですが、そういう所をネタにするダメ自慢と言うか、ダメ認定といった感じで、何とも後ろ向きと言うかダメージ回避に努めるような感じで使われている所も見受けられますね。

それにしても、昔は中国のネットユーザーの自嘲が「宅」(オタクや引きこもりというより、インドア派、PCの前で時間を浪費しているといった辺りの自嘲の意味で使われていることが多かったように思います)といった言葉などによるものだったのですが、現在の「屌丝」は「宅」などの言葉に比べて随分とネガティブなものになっています。

「屌丝」には、ネタ混じりとは言っても将来への不安と現在の環境への無力さなどが加わっちゃっていることから、現在の中国社会における閉塞感と未来へ希望の無さなども見受けられますし、ネットにおいても中国の状況が随分と変わってきているのを実感してしまいますね。

とりあえず、こんな所で。今回の説明は我ながら不十分だと思いますので、ツッコミ&情報提供をいつにも増してお待ちしております。

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 コメント一覧 (1)

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