■最新序列に対する疑問■

我要升国旗 ₪ Five.Star.Red.Rlag / Sakucae
■“新”長老となった胡錦濤
胡、習、江氏の順=共産党序列が判明―中国
28日付の中国共産党機関紙・人民日報は、全国政治協商会議(政協)副主席や中国基督教協会会長などを歴任した丁光訓氏(97)が22日に病気のため江蘇省南京で死去し、胡錦濤国家主席(前総書記)、習近平総書記、江沢民元総書記らが哀悼の意を伝えたと報じた。現時点での共産党の事実上の序列が胡、習、江各氏の順であることが分かった。
江沢民ら旧長老と、胡錦濤ら新長老をどう扱うのかは、単に名前の順番には留まりません。長老が現役指導部との間で自身をどういう位置づけと決定したのか、押さえておく必要はあります。
丁光訓の遺体、南京で火葬(新華社 2012/11/27)十八大以降、初の葬式であります。葬式は常務委員クラスの名前がズラッと出ますので、これで序列を確認します。
■丁光訓とは
一応、丁光訓について説明しておきますと、中国政府が認めるプロテスタント教会組織である、中国キリスト教三自愛国運動委員会、中国キリスト教協会の会長を長らく務め、全国政協会議副主席を4期務めた・・・すいません、新華社の略歴を丸写ししてます。
中国共産党の親密な友人と表現されている事からもわかるように、共産党員ではありませんが、習近平をはじめとして現役常務委員、常務委員経験者の名前がゴロゴロと出てきます。党公認の宗教家だったのですね。
■胡錦濤が1位
さて、気になる序列になります。
丁光訓の重病期と逝去の後、胡錦濤、習近平、江沢民、呉邦国、温家宝、賈慶林、李克強、張徳江、兪正声、劉雲山、王岐山、張高麗ら同志が病院に見舞い、もしくは各種の形式で丁光訓の逝去に沈痛哀悼の意を遺族に表し、深く慰問した。
11月15日の一中全会で胡錦濤が党中央軍事委員会主席を降り、習近平に席を譲ったのですが、
17日には胡錦濤、習近平の序列で軍事委拡大会議に出席しているように、胡錦濤はヒラ党員となった後も習近平の上位に位置づけられています。
10年前の江沢民から胡錦濤へとの交代はどうであったかといいますと。2002年11月の十六大で江沢民が党総書記を退き、2003年3月の全人代で国家主席を退くまで、序列は江沢民、胡錦濤、呉邦国……でありました。全人代以降は胡錦濤、江沢民、呉邦国……と、胡錦濤と江沢民の序列が入れ替わっています(参照:
江沢民、胡錦濤ら、第10期全人代代表に当選(中国新聞網2003/2/28))
■「党と国家の指導者」たるヒラ党員
現在の状況も前例を踏襲しているに過ぎないのですが、10年前の江沢民より立場が弱く、ヒラ党員となった胡錦濤がいまだに序列第一位であることを考えると、国家主席>国家副主席>前国家主席>なのでしょうか。
私は江沢民が総書記経験者であるがゆえに、他の常務委員とは異なって第二位に位置付けられているものと考えていたのですが、総書記退任後、国家主席退任前の江沢民が依然として第一位であったのを見ると、なんだかよく分からなくなってきます。
この並びは「党と国家の指導者」として使われることもあり、江沢民がかつて「党と国家の指導者」として紹介されていたのですが、胡錦濤も同様に「党と国家の指導者」となるのだと思われます。
■院政は続く
引退後も重要な問題には江沢民の意見も聞くと後に暴露されたように、胡錦濤にも元総書記特権が与えられているのでしょう。彼らを「党と国家の指導者」として紹介するのは、半ば公式に彼らが党政、国政に関わっていると認めたようなものです。
胡錦濤が国家主席を退任して完全引退した後は、習近平、江沢民、胡錦濤となるのでしょうが、引退した人間を公開の場で必要以上に立てる正統性はどこにあるのか。胡錦濤は十八大人事を良いように引っかきまわされ、軍内部の人事のみをなんとか面目を保つ程度にするのが精一杯でしたが、引退後は江沢民と同様に習近平を威嚇し続けるのでしょう。
胡錦濤は一時期、北戴河会議の開催を止めていたのですが、長老たちの猛反発で結局は毎年開催に落ち着いています。私は中央顧問委員会が名前を変えて残っているだけだと考えています。結局はヒラ党員となった人間の意向が、人事に大きく影響を及ぼすのですから。
関連記事:
ヒラ党員になった胡錦濤さんのお仕事、権力交代の端境期と面倒な序列(水彩画)“反日”以外は何もしない?!第1期習近平体制は「安全運転のマッチョ主義」(ujc)【中国コラム】お葬式からここまで分かる!元国家元首の現状、政治家の序列、意外な実力者【中国斜め読み】AKBの北京差別が発覚?!孔子子孫の名物教授に捜査(ujc)「AKBは日本の恥」と台湾メディアが報道?!誤解が生まれるまでを調べてみた
*本記事はブログ「中国という隣人」の2012年11月29日付記事を許可を得て転載したものです。