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ダライ集団はチベット人を焼身させた殺人犯、中国のプロパガンダ記事を読む

2012年12月09日

2012年12月9日、新華網はチベット人に焼身を強要していた“殺人犯”2人が逮捕されたと報じた。

Tibet Fresco
Tibet Fresco / Joseph A Ferris III


■扇動者には殺人罪を適用

9日午前、人民日報は記事「他者の焼身を扇動、幇助した場合には故意殺人罪を構成する、中国本土が規定」を掲載した。これは3日付甘南日報の記事をなぜか6日も過ぎた今、転載したもの。最高人民法院、最高人民検察院、中国公安部が連名で公布した「法に基づいてチベット地区焼身事件を処理するための意見」について伝えたもの。

同意見は最近、チベット自治区で相次ぐ焼身は、中国内外の敵対勢力による国家分裂・民族団結破壊の陰謀だと断じ、焼身を組織、計画、扇動、教唆、強要した場合には殺人罪を適用すると宣言している。


■新華社記事を読む

そして同日午後、「法に基づいてチベット地区焼身事件を処理するための意見」が初めて適用されることになるであろう、焼身教唆の犯人2人が逮捕されたことを新華網が報じた。「ダライ集団」の支持を受けた2人の扇動、教唆、脅迫により、8人が焼身し3人が死亡したという。

逮捕されたのは四川省アバ・チベット族チャン族自治州アバ県格尓登寺の僧侶・羅譲貢求(40歳)。そしておいにあたるアバ県の遊牧民・羅譲才譲(31歳)。逮捕されたのは8月13日~15日と4カ月も前の話である。

記事では海外の「ニュース連絡グループ」の要請を受けた羅譲貢求が僧侶としての地位を利用し、「焼身は協議に反したものではない」「焼身者は英雄」などと宣伝していたほか、自分には「インドのチベット独立勢力」とコネがあり、焼身者のことを海外に伝え本人と家族の名誉が高まるようにできると話していたと伝えている。

こうした多数に向けての宣伝活動に加え、おいの羅譲才譲とともに他者の焼身を扇動、教唆、脅迫していたとも取り上げられている。焼身が行われる前に2人は焼身者やその家族の写真を撮影し、情報が絶対にインドに伝わるようにすると約束していた。実際、携帯電話などを通じて、写真や家族などの情報は海外に贈られていたという。

また扇動、教唆を受け、一度は焼身しようと考えたものの家族や現地官僚、警察に説得された者も数人いる。うち2人は焼身しろとの羅譲貢求の脅迫を避けるためにアバ県外に身を隠していたという。


■まずは情報公開から

焼身を扇動したものには殺人罪を適用、という「意見」を発表した後に、4カ月前の逮捕者を「こいつらが扇動していました!」と書き立てたのが今回の流れ。これをそのまま信じろと言われてもなかなか厳しい。

もっとも「よくできている」部分もある。羅譲貢求と羅譲才譲の2人が焼身者やその家族の写真などの情報を用意していたという話がそれだ。焼身者については名前や写真などの情報がほぼすべて海外に伝えられているようだが、「段取りよすぎるだろ。それは仕込みだからなのです」と言ってのけたわけだ。
(関連記事:「iPhoneを持っていたから」即逮捕されたチベット人=スマホがチベット本土と亡命政府をつなぐツールに


またこれだけ焼身者が続く中で、現地でどのようなムードになっているのか、焼身者を英雄として評価し新たな焼身を奨励するようなことになってはいないかなどなども気になるところだが、新華社記事はこの点についても中国政府視点での回答を見せたわけだ。

ただ中国当局がどれだけがんばって宣伝し、ポイントを抑えた(?)主張を展開したとしても、それを信じることはなかなかに難しい。というのは圧倒的な武力を持つ中国当局が現地を封鎖し、外国メディアの立ち入りを規制し、情報を検証することを妨害しているからだ。

情報公開と海外メディアの受け入れを出発点にすべきだろうが、今のところその兆しはまったく見られないようだ。

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