中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2012年12月15日
Cosplay - AWA14 / mikemol
■日本語学習の副作用?!
最近は中国オタクの間に入っていく情報がどんどん増えていますが、日本語を学んで日本語の情報に直接アクセスするというケースも増えているようです。作品に関しても、昔は中国語化された作品名でのやりとりがほとんどでしたが、最近では日本語タイトルのままでのやりとりもかなり増えて来ているように感じられます。
ただ、そんな中で作品名の中国語訳に対してもやもやとしたものを感じてしまうことも有るようです。先日、中国のソッチ系の掲示版でそういった「中国語化されたタイトル」に対するツッコミ含むイロイロなやりとりを見かけましたので、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。
■中国人オタクの議論
日本語を勉強するようになってから気付いたんだが、アニメや漫画の中国語タイトルって元の日本語のタイトルからかけ離れた中国語訳になっているのが少なくない。さすがにどうかと思うレベルのもあるし、こういった元が想像できないレベルになった中国語タイトルってどう思う?
まぁ、そういうのってアニメや漫画に限らずあるからね。ウチの国では英語表記のタイトルは受け入れられないから、基本的に全部漢字にしなければいけないし、音訳も固有名詞でギリギリどうにか……という感じだから、どうしても微妙に感じる部分は出て来るよね。
そう言えば、「魔法少女まどか☆マギカ」なんかは何気に「魔法少女小圓」という中国語タイトルへの翻訳過程で元の意味が抜け落ちているよね。「マギカ」とか、どうすれば良いのか自分にはわからんが。あと魔法少女つながりで「魔法少女リリカルなのは」も「魔法少女奈葉」になって「リリカル」が消えてる。
考えてみれば、「Fate/Zero」は公式も含めて英語表記のまま広まっている例外的な存在だよね。ファン同士のやりとりならともかく、商業レベルの公式になるとほとんどが中国語化されて漢字名称になる。「Fate/Zero」は広まるルートが同人からだったし、英語表記がそのまま通ってしまったのかな
「Fate/Stay Night」は当初「命運之夜」だったよな。一応ファンの間では「Fate」表記も使われていたけど、中国語名でのやりとりも昔は多かったよね。このシリーズがいつの間にか英語表記で普及してしまったのはちょっと面白いかも。
公式の中国語タイトルよりも、中国語でつけたネタタイトルがこっちの人間の間に広まって定着してしまうケースがあるが、そういうのが一番イヤだ。後から入った中国語公式タイトルも広まらないし。
あー、そういえば「TIGER & BUNNY」なんかはまさにそうだったな「基友英雄伝」で広まってしまった……
(訳注:「基友」は現在のネットでは「中の良い友達」程度でも使われるようになっていますが、元は男の同性愛者を指す言葉でした)
「TIGER & BUNNY」は作中の広告をネタにした「広告侠」とか「広告戦士」って中国語名もあったな。あれ、原題に忠実な訳の「老虎和兔子」で作品を認識しているヤツはどれだけいるのだろうか……。あの作品アンチやネタ扱いする連中がつけたタイトルが先に広まってしまってまともに作品内容を知ろうとする人間が出なかったのが悲劇だったな。
「けいおん!」を「軽音少女」と訳したりするのは許されるよな。日本のタイトルにたまにある、かな文字4文字の言葉は直訳が難しいし。
原作からかけ離れた中国語訳でも、悪くないのはあると思う。例えば「お兄ちゃんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!」を「腹黒妹妹兄控記」とやったのは、作品のノリ的には成功の部類に入る翻訳のような気も……?
中国語訳のタイトルで覚えてしまうと、作品の情報を探すときに困るんだよね。日本語表記やローマ字表記を覚えていないと、検索できない。自分は気になる作品に関してはその辺を意識して押さえるようにしている。
最近だと、「めだかボックス」が「最強会長黒神」になってたな。さすがにそれは無いだろうと思ってしまった。
でも、「めだかボックス」をどう訳せばいいんだろうな。直訳して「目瀧箱」にするのもなんか違う気がするし。
いや、目瀧というか主人公の「黒神めだか」を「黒神目瀧」と訳すという時点で既に問題が生じている。あの作品に関しては、「めだか」をどう訳すかというのがまず最初の問題となっているんじゃないかと。
そう考えると、「最強会長黒神」というダサいタイトルもあり……なのか?でもこんなタイトルだと、西尾維新作品というイメージがどうも湧いてこない。
ひらがなの名前で漢字表記の推測ができないケースは大変だよな。私はそういうのを見る度に、昔「丸子」と訳されてしまった「鮎川まどか」の悲劇を思い出す。これ、日本人が見たら「ちびまる子ちゃん」しかイメージできないらしい……
混乱っぷりで印象深い最近の作品が「ちはやふる」だね。「花牌情縁」というタイトルに訳されていたが、かるたを「花牌」とやってしまったのがわりとでかいミスだったと思う。一応、「日本花牌」というのはこっちでも言うけど、それは日本だと「花札」というものを指す言葉であり、百人一首のかるたではない。それに「情縁」なんて部活モノにつける言葉じゃない!
「ちはやふる」はタイトルが百人一首から来ているからかなり訳しにくいのは間違いないね。アニメの各話のタイトルも微妙な翻訳になってたし。他にも例えば「デュラララ!!」なんかはきちんとした訳は無理だと思う。「無頭騎士異聞録」という中国語タイトルになっちゃうのもしょうがない。あまりにも意味不明だと新規のファンが興味を持つ以前の問題になりかねん。
日本の感覚ではウケる(と思われる)タイトルでも、こっちでは意味不明なのあるからね。タイトルはなんだかんだで人気の広まり方にも影響が出る。「ラブひな」や「ネギま!」だってそのまま音訳していたら人気になり難かったと思う。
直訳では根本的に中国語にできないタイトルもあるよね。「C」だとか「K」だとか、どうすれば?てか検索しても引っかかんないし、何かと不便なのになんでああいうタイトルにするんだろう。
こういう話題になると「School Days」を「日在校園」としたのはまさに名訳だったと思ってしまうな。裏の意味までこっちの言葉でカバーするとか、上手すぎる。
(訳注:中国語の「日」にはスラングとして姦淫、いわゆる「F○CK」の意味があります)
そこまで間違ってはいないけど、もうちょっとなんとか……というのは結構あるよね。私は「咲」が好きだけど、その中国語タイトルが「天才麻将少女」になっているのはイマイチ良い気分じゃない。
「咲」はウチの国では使われなくなっている漢字だし、読み方も「笑」と同じようになるからなぁ。ベターなのは意訳だったのだろうか?でも「咲」という字の意味をどう理解するかというのも問題だし……難しいな。
直訳すると逆に微妙になってしまうケースもあるよね。例えば「ソードアート・オンライン」は「刀剣神域」というちょっと意味を変えた中国語タイトルになっているけど、「オンライン」部分を直訳して「在線」なんかにしたら間違いなくカッコ悪いし、いい意味での中二病的な空気が無くなるよな。
原題と違うとか言い出したら、「NARUTO」も「BLEACH」も「ONE PIECE」も全部原題とは離れて「火影忍者」、「死神」、「海賊王」になっている。でも一応ウチの国でも大人気だ。個人的にはあんまりダメなのはともかく、現地事情に合わせた一定の改変は許されても良いんじゃないかと思う。
ただ、訳す段階で情報が欠落するのはやはり残念に思うんだよなぁ。例えば「バクマン。」は中国語名が「食夢者」になっていて、内容を考えると悪くないタイトルではあるんだが、原題では「バク」に色んな意味が込められているのを読者が想像できるようになっているから、一つの意味だけで訳してしまっていいのかとも思ってしまう。
翻訳を通して現地の人間に伝え、売るためには、一定の改変は仕方ないんじゃないかな。問題はやはり原作との乖離だろうね。あと、あまりにもダサい、要約し過ぎ、作品の内容の一部分だけを抜き出したようなタイトルはイロイロとだめなんじゃないだろうか。