ジャッキー・チェンがまたまたやらかした、と話題になっている。
成龙画儿 - Picture of Jackie Chan / ahenobarbus
■ジャッキーと民度論
先日、記事「 「香港人は中国を罵倒してばかり」「デモに規制を」ジャッキー・チェンの「失言」」でジャッキーの失言を紹介したばかり。ジャッキーは以前、「自由すぎると台湾や香港のように混乱する」「中国人は管理される必要がある」と発言し炎上した経歴を持つだけに、またか!と話題になった。
ちなみに以前の発言がなぜそれほど炎上したのかというと、「中国人は民主主義をやっていけるだけの民度を備えているのか?」という民度論、「欧米的民主主義は社会を混乱させるだけ」という中国の特色ある社会制度論にひったりあてはまる発言だからだ。中国共産党にとっても大変都合のいいロジックで、党の準機関紙・環球時報の社説にまんま使えるレベル。
中国人の民度をなめるな!中国共産党のスポークスマンやってるんじゃない!というのがネット炎上の理由と言えそう。
■ジャッキー、銃刀法違反容疑で怒られる
というわけで前回記事では雑誌・南方人物週刊に掲載されたインタビューから民度論絡みの部分を紹介したのだが、まったく別の方角からも火の手が上がっている。
ジャッキー・チェンさん、香港で銃や手りゅう弾所持 暴力団から身守るため
港の映画スター、ジャッキー・チェンさんが暴力団から身を守るため、かつて香港で銃や手りゅう弾を所持していたと述べたと報じた。香港では銃の所持に許可証が必要で、香港警察はチェンさんから当時の許可証の有無などについて聴く方針だという。
民度論によるネットでの炎上ではなく、普通に警察から怒られてしまったという……。
で、
インタビューの該当部分(というか冒頭)を読み直したら、面白すぎるというか、これをそのまま映画にして欲しいというすばらしい内容なのでぜひご覧戴きたい。代名詞の指示内容が瞬時に入れ替わり文意を取るのが大変に面倒臭い文章だったので、いろいろごまかしつつ、文意がとおるようにざっくり訳している。
■ジャッキーのインタビュー
Q:いつから「大哥」(アニキ)と呼ばれるようになったか、覚えていますか?
ジャッキー:忘れた。本当に忘れたよ。いつからだったかな。今じゃ、なんだかオフィシャルな呼び名みたいになっちゃったね。
Q:何年前ぐらいからでしょうか?
ジャッキー:そうだね……20年ちょっとかな。きっとボクが下らないことにクビを突っ込んでいたからだね。
Q:それは?
ジャッキー:マフィアに抗議して、タレントを守り、香港演芸人協会を作ったことさ。協会が対処できない時は、ボクが(タレントを)助けた。それから後に結成した香港映画関係者総会もボクが作ったんだ。
Q:当時、なぜ香港演芸人協会を作る必要があったんですか?
ジャッキー:ボクはアメリカで公平な待遇を受けることができた。香港に戻って、タレント全員が不公平な待遇を受け、虐げられているのを見た。金ももらえやしない。マフィアに虐げられているんだ。そこでボクが最初の一人になった。雑誌『壱週刊』で、文句があるなら俺のとこに来い。無実のものを虐げるなって言ってやったんだ。こんなことボクしかやろうとしなかったからね。だからボクはマフィアと対立することになった。
Q:どのようにですか?
ジャッキー:当時はね、銃を持ったマフィアたちがアンディ・ラウに演技を指示しているような時代だったんだ。撮影していたら銃を持ったマフィアがやってきて、「うちの映画に出演しろ。報酬は10万香港ドルだからおまえには2000香港ドル渡してやる(残りはマフィアが中抜き)」。ひどい話さ!ボクの会社には張曼玉、王祖賢、張学友たちが契約していた。ボクは彼らのボスだったんだ。彼らがこんなひどい目にあったらどうする?ボクが出て行くしかないだろう。
以前、マフィアたちがボクをひどい目にあわせようとした時、ボクはアメリカに逃れた。飛行機を降りたら、すぐに撃たれたよ。出歩く時は銃を持ちあるかなきゃならなかった。
ある時、香港に戻ってメシを食っていたら、刃物を持った二十数人に囲まれた。ボクは銃を持っていたし、服の中にはもう2丁あった。それでね、お前らはひどすぎる。ボクはもう何度もお前らも避けてきたのに(もう我慢はしない)!と言ってやった。そしてボクは2丁の銃と6発の手榴弾でやつらに立ち向かったんだ。マフィアとはね、お金を使って戦った。30年前ぐらいかな。ボクは50万香港ドルで(人を雇って)戦ったんだ。(雇った人のことを)「わらじを履く者」って呼んでいたよ。彼らはね、戦ってなにか問題が起きても、彼らは逃げのびることができる。もちろん手伝ってくれた者、牢に入った者を守るために、家族の生活費を渡したよ。相手のマフィアや警察が来る時もある。まだ携帯がなかったからホテルから電話してね、身分証がないやつは先に逃げろっていったんだ。それで60人が逃げていく。
当時の香港マフィアがボクたちのことをどれほど恐れたか。ボクは香港に住んでいないし、ボク(の手の者)は身分証を持っていない。相手を殺したら逃げ去るだけだ。それで後になってマフィアたちは言ってきた。アニキには気骨があるってさ。そんなことはないんだけどね。ボクは金を出してあいつらをやっつけただけ。人を雇ってボコボコにしてもらっただけだから。いや、ボク(はマフィアじゃないよ。ボク)がもしマフィアだというのならば、英国女王陛下から勲章をいただけるはずなんてないじゃないか。
■マフィアを倒したはずのジャッキーがマフィアにしか見えない件
前回記事にも、「
ある種の暴力やルールを守らない人に立ち向かうには、一種の暴力が必要なんだ」という言葉とともに、台湾で駐車違反の車のタイヤをパンクさせたエピソードがあるが、「悪の力で悪を討つ」がジャッキーの信条ということがよくわかった気がする。マフィアを倒すべく戦っているうちに、ジャッキーこそマフィアのボスそのものになっているエピソードがたまらない。
ちなみに香港映画界はかつて(というか今も?!)相当カオスだったとは聞くが、ジャッキーの語ったエピソードがどれだけ事実に基づいているのか、判断する能力は私にはさっぱりない。詳しい方はぜひ参考文献などなど教えていただけたらと願う次第。
なお警察から「香港で銃と手榴弾を持ち歩いておられたんですか?」と聞かれたジャッキーは、「レストランで20人に囲まれたのは米国だったかな。勘違いしてたな」と弁解している。「ある時、香港に戻って」って言っとるがな!と無理な弁解に憤りつつも、インタビューの文意の通らなすぎる言葉(上記訳文はだいぶ分かるようにしている)に、意外と本当の勘違いだったのかもしれないと思うのだった。
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1911なんか見ると、自分自身をどう使うか迷っておられるようにも感じるが、これからも頑張ってもらいたい。