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中国微博業界の2012年=3つの光と3つの影(osschina)

2012年12月30日

■中国微博(ウェイボ)業界の2012年 3つの光と3つの影■

Weibo
Weibo / bfishadow


今回は2012年最後の更新ということで、2012年の微博業界の回顧を光と影の部分に分け、紹介していきたいと思います。本来はソーシャルメディア業界、という定義にしたかったのですが、対象も広く抜けやあやふやな部分も出てしまうだろう、ということで微博業界に絞りました。

では、さっそく光、要は明るい材料から。 

1.微博のプラットフォーム化が加速

微博はよく日本では『中国版Twitter』などと紹介されていますが、微博を利用されたことがある方ならわかって頂けると思いますが、微博がTwitterと重なるのは”フォローする/フォローされる”という概念部分だけといっても過言ではなく、先日出版された『乗り遅れるな! ソーシャルおじさん増殖中!』 (ソフトバンク新書)』でも話したとおり”Twitter + Facebook + 独自サービス”が微博というのがより正確な表現と思います。

そんな中2012年も様々な微博上での連携サービスが誕生しましたが、新浪微博の話をすると収益化の2本柱、「広告モデル」と「EC連携」が本格的に開始されたことがあげられるとおもいます。

新浪微博は2012年第2四半期に同微博上での広告展開を一般開放しましたが、同四半期に新浪全体の10%の収入にあたる1,000万ドルが広告収入となり、収益化の目処をたてました。もう1つはECビジネスとの連携ですが4月頃から微博専用ファンドを利用して書籍を中心とした快書包に投資を行なったりしていましたが、 12月にはついに『お財布ウェイボ』を発表し、オープニングセールとして小米携帯の発売を5万台発売しましたが、5分で完売するなど上々な滑り出しでした。

ECビジネスとの連携に関しては腾讯微博(Tencent Weibo)も微卖场を昨年11月から展開していますが、2012年中は特に目立った動きはなかったように思います。

微博のプラットフォーム化はその他細かいのを上げていくとキリがなくなるので、割愛しますが『微公益』などというボランティアや義援金の送付を微博上で実施する試みも行われるなど各種サービス、連携が微博上で増えた年でした。


2. ビジネス利用のさらなる増加


微博をマーケティングプラットフォームとして企業や観光地、団体として利用する機会は2011年から開始されていましたが、2012年はそれが更に加速し中国国内だけでなく日本を含めた海外の企業や団体が数多く微博上での公式アカウントを作成し情報発信していました。

今年の3月に発表されたCICの『2012年企業微博白書』 によると今年2月末時点で130,565件の企業が公式アカウントを開設しており、日本からも178アカウントが新浪微博上に公式アカウントを開設していたとのことでした。そして企業だけでなく、観光地や地方自治体などのアカウントも非常に多く開設されました。

それを象徴しているのがCICとOgilvyが共同で発行した『微時代の危機管理白書』で、同報告は微博上での情報発信、交流時のリスク管理が伝統的な媒体との比較を交えながら紹介されていたり、炎上・反響の大きかった事件を時系列と共に事例紹介しており、特に海外の企業や団体が微博上で情報発信していく上で非常に有用なツールとして様々に活用されました。

また、プラットフォーム側の新浪微博や腾讯微博もそれぞれ企業ページをリニューアルし、企業・団体の微博運用を支援すると共に公式アカウントの更なる獲得に邁進していました。


3. 新浪微博以外の微博企業の追い上げ

一般的に日本で微博(ウェイボ)というと新浪微博、そしてQQを展開している腾讯微博などが想像されるでしょうが、その他に捜狐微博や網易微博なども存在し、左記の微博企業がよく”四大微博”としてニュースなどで紹介されています。

上記四大微博の他にも人民網が提供している”人民微博”がいぶし銀ともいうべく根強い人気を誇る中、Web画面をリニューアルしたり、新華社が提供する”新華微博”なども新浪微博やテンセント微博ほどではないにせよ、一定の存在感を示すなど新聞系企業の微博サービス、というのが目に着きました。

これは自身の実測になるのですが、自社のWebサイトの流入は2012年年初は検索系やダイレクトアクセスを除き新浪微博が断トツのトップだったのですが、腾讯微博や網易微博、新華微博などの流入が年後半から増え始めてきたことからも新浪微博以外のサービスもアクティブ化してきているんだな、と感じたものです。



さて、光の部分はこの辺にして影、というと大げさですが気になる点を幾つかあげてみます。


1. ユーザー数増加の鈍化

これは今年に始まったことではなく2011年後半から見られた現象ですが、2010年末から2011年末にかけてはユーザー数増加率が292%と大きな躍進をとげたのですが、2011年を上期と下期に分けてみると、上期が約1億3,000万人増だったのに対し、下期は5,000万人増に留まりました。そして2012年6月末に発表されたデータは2011年末から2012年6月末までの増加数は2,400万人程度の増加に留まり、増加率も2桁を割り込む9.5%でした。

安定期に入ったとも言えますが、微博を楽しむような対象ユーザーには一巡してしまった、という見方もできるわけで来年1月に発表される2012年末時点の最新報告でもユーザー増加率はそれほど大きくないのではないかと感じています。


2. アクティブユーザー数の低下

同ブログでも再三「アクティブユーザー率の向上が課題」といってきたのですが、最近は富にアクティブ率が”劇的”とは言いませんが、徐々に下がっているのではないかと感じています。

根拠は2つで、1つ目は新浪微博などでPCのWebブラウザからログインした場合、右側に「在钱好友数」ようは相互フォローになっているユーザーがオンライン状態である人数が表示されるのですが、2011年頃はここが常時100人を超え、多いときでは150人くらいになっていたのが、今年は多いときでも70人を超える程度に落ち込んでいることです。ちょっと正確な数字が確認できないのですが、自分の相互フォロー数は600前後と思いますので、オンライン数を考慮するとアクティブ率は12~13%と推測され、前年の20%前後からは落ちていることがわかりますし、相互フォロー数も昨年よりは増えていますので、オンラインユーザーの絶対数も落ち込んでいると言えると思います。

もう1つは自社Webサイトへの流入数です。先に網易微博や新華微博からの流入数が増加していると書きましたが、その一方で新浪微博からの流入数が若干落ち込んでいるのも事実で、これは自社の情報発信がつまらないから、もしくは飽きられたからなどの要素があることは否定できないですが、フォローワー数自体は増えているので気になるところです。


3. 微信(WeChat)の躍進

以前の記事でも紹介したとおり2013年年初には3億ユーザー突破が見込まれるなど、2010年→2011年の微博を彷彿とさせる躍進を遂げた微信。最近よく中国の記事でも微信の台頭によって新浪微博など各種微博サービスがあおりを受ける、などの記事も増えています。微信でも企業のマーケティング活動は開始されており、国内外の多くの企業が微信で公式アカウントを作成し、QRコードを各所に貼りつけ購読者を集めている姿が目につきます。

微博と微信は若干性格が違いますが、多くの人がソーシャルに求める情報発信、取得、交換などの基本的な部分では同じですし、何より総登録アカウント数は10億を超えると言われ、中国で一番普及しているソーシャルツールでもあるQQと非常によく似た性格をもっているので、大人気を博す要素は持ちあわせているわけですし微博群にとっては非常にやっかいな存在と言えると思います。

さて、 非常に大雑把に2012年を振り返りましたが、2013年は微博にとって試練の年になるかもしれず、今までの情報発信、取得、交流だけでは衰退や淘汰が進むのではないかと思っていますが、そのためにも新浪微博や腾讯微博はそのサービス自身のプラットフォーム化を急ぐと共に収益化を図っており、2013年はそれらがより加速する年になると思います。

2013年は微博やともすれば微信とも全く異なったソーシャルサービスが台頭してくる可能性もありますが、私が個人的に注目しているサービス、分野は以下2つです。 


1. LBS

何を今更といわれそうですが、Foursquareや街旁(JiePang)などの単体サービスを指しているのではなく、LBS広告や好大夫などの複合サービスが更に存在感を増してくるのではないかと思っているのと、新浪微博や腾讯微博などは既に取り組んでいますが、微博サービス提供各社の自社プラットフォーム上での連携なども強化されていくと思っています。

2012年6月末時点のCNNICのレポートにもありましたが、モバイルインターネットユーザー数は3億8825万になり、はじめてインターネット接続手段としてデスクトップPCを抜き去りトップに踊り出ましたが、この勢いは2013年も続くことが見込まれ、この流れを後押ししていくものと考えています。


2. 社内ソーシャル(SNS、微博など) 

コンシューマで利用して慣れ親しんだツールをビジネスでも利用したい、利用するほうが効率的、というのは既にインスタントメッセンジャーのQQが証明していると思っています。

通常であれば企業のホームページなどには代表の問い合わせメールアドレスが書かれていると思いますが、中国企業では代表QQアドレスが書かれていたり、取引先などとの連絡もQQを中心に行われるなどビジネスの場においても広く利用されていますが、これが微博、SNSなどに形を変え、社内の情報ツールに活用され始めるのではないかと思っています。

これは既にCCW Research社が社内ソーシャル市場は2012年は対前年比246%の成長を遂げるとも予測しているのと、CICが毎年年初に『ソーシャルメディア構造概要』という中国のソーシャルメディア業界を俯瞰するのに最適なツールを提供しているのですが、今年のバージョンから『企业社交(社内ソーシャル)』の分類が追加されるなど、各所で注目も集めています。

まあ、ただこれは自身の会社が同製品を提供しているが故の希望的観測である、ということも白状しておきます。


さて、今回は長くなってしまいましたが最後までお読みいただきありがとうございました。また、今回の更新が本年最後となりますが、本年も同ブログをご愛顧いただき誠にありがとうございました。

来年ももちろん継続的に情報発信していきたいと思っていますが、今までの微博中心からもう少し視野を広げてソーシャル業界を全体的に紹介していきたいと思っていますので、ぜひ来年も変わらぬご愛顧をいただければ幸いです。

それでは、皆様良いお年を!

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*本記事はブログ「中国マイクロブログ(微博)雑記」の2012年12月28日付記事を、許可を得て転載したものです。


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