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2013年01月10日
■ご挨拶
新年最初の更新は、「南方週末」書き換え抗議事件に関する特集みたいになってます。この事件の概要やポイントは、金鰤のこちらの記事が一番参考になりますのでまずはこちらをご覧下さい。
■ルールを守った専制政治を!日本メディアが誤読している南方週末事件の本当の“面白さ”■
■ジェット団VSシャーク団
南方報業本社ビル(「南方週末」が入っているビル)にはこの数日、南方週末の抗議活動を応援する人々が横断幕を掲げて集っているのですが、その様子はこんな感じ。
8日、南方報業(南周の親会社)本社前には100名程度、9日は300名程度の南周支持者が横断幕を掲げて集まっていたものの、規模は1/10程度ではあるけれども保守派も「アメ公と漢奸による陰謀だ!」「西洋化・資本主義化反対!」といったシュプレヒコールを挙げており、一触即発だった模様。
「五毛」を表す五角札を手に掲げる人物も。最近の五毛党は随分と自己主張するようになったんだねえ。。。(笑)
■こんな方からも応援の声が寄せられています
李冰冰さん(女優)
「おはよう。新年から8日仕事が続いて、週末が週末じゃなくなったけど、月曜日はやっぱり月曜日なのよね。おはよう。南方は暖房がないけど、皆さんお体には気をつけて。おはよう。厳しい冬だけど春は来るわ。」
姚晨さん(女優)
(南方週末のロゴ画像を掲載して)「一片の言葉の真実は世界全体よりも重い」(ソルジェニーツィン)
新浪網(天津)さん
縦読みしたら「南方週末頑張れ!」
■周さんを検索したい方はご注意下さい
ここ数日の新浪微博の敏感語規制は「南方週末」絡みで賑わっており、南・方・周・末の各文字はおろか(南報本社のある)番地表記の「289」までもが引っかかる模様。
■うん、バグなら仕方ないよね!www
「(南周を批判している)環球時報の社説を載せろ!さもなきゃ解散だ!!」と上から圧力が掛かっていた新京報ですが、拒否の末に9日ついに隅っこの方に載せるという妥協案で決着。しかしウェブでは何故だか急にシステムバグが発生して、9日の記事を更新できなかった模様。
(自由報道(@freemoren)のツイッター添付画像より)
■系列会社でもないローカル紙にも賞賛の声を
ちなみに、環球時報の社説転載を拒否したのは新京報と瀟湘晨報(長沙)の2紙だった模様。社長は昨年のCCTV経済年度人物にも選ばれた有名な人らしいですね。
■原文はもっと格調高く書いてますが
そんな新京報さんは、同日9日紙面に「南方の粥(周と同音)」と題するグルメコラムを掲載。
「いや~今年は寒いっすね~、何でも数十年に一度の寒さだとか。もう世界中(環球、環球時報の社説を指すと思われる)でも厳しい寒さのようで、そんな時にはアッツアツの粥!!それもやっぱ南の粥でしょ!!。もう、これ食べればほっこりホカホカ、勇気凛々瑠璃の色っ!ってね☆(以下続く)」とグルメ記事の形で応援メッセージを送っている模様。
(時事通信)
■友情リレー
遠からず削除されるであろう新京報に掲載されたグルメコラム(笑)「南方的粥」が、今度は広東の系列紙・南方都市報道に「寒い冬 南方の粥が温もりを送る」としてウェブ転載されている模様。
(南方都市報)
■アカン、また髪白くなってまう
明報によると、この騒動に関して直接出馬しての解決を図っている広東省党委書記・胡春華さんへの中央からの指示は「お前ら(広東)で何とかせえよ?」という怖い一言の模様。そんなプレッシャーをかけられた胡春華さんの大岡裁きは、こんな感じになる模様。「南方週末の総編集長と、問題の書き換えを指示した省宣伝部長はともに(時期をみて)解任。他の編集者やスタッフはお咎めなしで通常業務に復帰。」これを南周側も受け入れたため、10日の発行は通常形態で発行する模様。
(香港明報)
■経験者より一言
「冰点週刊」元編集主幹の李大同は、南周事件についてRFIのインタビュー対し「今言われているような結果になるのであれば、まあ理想的な落し所がついたんじゃないかな?」と評価している模様。
(RFI)
■ハイかいさ~ん!えっ北京?知らんがな(by 胡春華)
ということで、10日の昼頃には「南方週末」10日号の発行が無事に確認された模様。
ロイターによると、広東省トップの胡春華が事態を収拾。省宣伝部書記・庹震をそのうちクビにする、今回歯向かったやつらの罪は問わないことを条件に、ストライキをやめて新聞を作るようサジェストしたのだとか。
(BBC中文網)
■こんなオチですいません
そんなこんなの喧噪を他所に、中国網民は趙薇・章子怡・李冰冰・范冰冰といった美人女優4名の画像を組み合わせて「これが現在の中国美人顔の究極だ!」といって喜んでいる模様。
(中国新聞網)
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*本記事はブログ「The Useless Journal of CHINA」の2013年1月10日付記事を許可を得て転載したものです。