中国、新興国の「今」をお伝えする海外ニュース&コラム。
2013年01月15日
Tanks in Beijing / gadgetdan
2013年1月15日、解放軍報は北京軍区の戦車部隊の賈元友班長の記事を掲載したが、これがとても楽しい内容。ざっくりとその中身を紹介すると……
■伝説1:的の中心を射貫いた4発の砲弾
一瞬の間に情勢が千変万化する戦場。賈元友班長はその中でもチャンスを見逃さず、一気に砲弾を4発発射した。たちこめた硝煙が晴れるとなんということだろう、4発の砲弾はすべて的の中心に命中しているではないか。もし実戦であればどのような敵もこのような打撃には耐えられないだろう。
ある者はいう。良い砲手たるもの、狙ったところに命中させることができる、と。だが賈元友班長に言わせればそんなことは最低ラインだ。「あそこに打たねばと思った時にはそこに攻撃している。」それこそが彼の目指す境地だという。
■伝説2:徹甲弾一発で戦車2台を破壊
ある演習でのこと。隘路を走っていると、400メートル先に敵戦車2台と出くわした。だが賈元友班長はいささかも慌てやしない。距離を測り、狙いをつけて……敵戦車2台が重なったその瞬間、賈元友班長は砲撃。なんと一発の砲弾で2台の敵を葬ったのだった。なんと冷静な判断か!0.1秒遅れていたら倒れていたのは賈元友班長だっただろう。この0.1秒を手にするために賈元友班長は13年もの猛特訓を積んだのだ。
■中国ネット民もツッコミの嵐
といった感じ。
この手の大躍進風味のプロパガンダ記事が21世紀になった今もまだ死に絶えていないのが中国の奥の深さではなかろうか。私はこの手のおばかプロパガンダが大好物。「たった10日間で高速鉄道運転テクをマスターしてドイツ人を仰天させた李東暁」などという記事も紹介したこともある。
私だけではなく、中国ネット民のみなさんもこの手のおばかネタは大好物。というわけで、このどうしようもない解放軍報の記事が大手ポータルサイト・網易のコメント数ランキングで上位につけている。大ボラっぷりを揶揄する書き込みをピックアップしてみると、以下のとおり。
大ボラふかないと死んでしまう病気にでもかかってるの?
1840年(アヘン戦争)前は全部自慢の歴史。1840~1949年は屈辱。1949年以後は神秘。で、1979年(改革開放)以後は全部栄光の歴史となっております。
これ小学生が書いたんじゃね?
北朝鮮のニュースを見過ぎたのか
いやいや、昔はライフルで米軍の戦闘機を撃ち落としていたらしいし。これぐらい、ねぇ。
中国の人々を相手にする上では君たちはすばらしい兵士だと信じているがね(天安門事件の皮肉)。米軍を相手にするならもうちょっと現実的にならないと。大ボラふかないとダメなのかね?