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日本防衛相が「中国機に信号弾を撃つ」と発言?!朝日新聞中国語版の誤訳が噴飯ものの件について

2013年01月17日

朝日新聞中国語版の記事がひどすぎた件について。


16日公開の記事「日本防衛相が中国機への発砲を許可?!中国マスコミ騒然の朝日新聞による“誤報”について」で予告したとおり、年初以来、中国メディアが日中関係の緊張を報じている点についてまとめていたら、朝日新聞中国語版のひどい記事を発見したのでご報告。


■まずは日本語版を

記事「日本防衛相が中国機への発砲を許可?!中国マスコミ騒然の朝日新聞による“誤報”について」で取り上げたのが朝日新聞デジタルの記事の煽りタイトル。

いくつかバージョンがあるのでまとめると、

(1)「領空侵犯に信号射撃 対中国で防衛相方針」(現行の朝日新聞デジタル)
(2)「防衛相「領空侵犯、信号弾で警告」 中国メディア質問に」(朝日新聞デジタルの当初公開版)
(3)「「領空侵犯続くなら信号射撃」手順示し中国牽制」(朝日新聞2013年1月16日朝刊4面、日本報道検証機構Gohooを参照)

となる。このうち(1)は「領空侵犯に(国際的な基準に合わせて間違いのない対応を備えていると防衛相が言っているので)信号射撃(をするという意味であろう)」の要約と理解できるので誤報とは言い難いラインだが、(2)(3)はカッコ内の言葉が防衛相の発言と読めるので明らかにバツであろう。


■中国版のスーパーすぎる誤訳

で、朝日新聞は中国語版もあるのだが、これがやばい。

20130117_写真_中国_日中関係_尖閣諸島_2
*上記画像は日本報道検証機構Gohooがキャプチャーしたもの。

防衛相:信号弾を発射して領空侵犯機に警告する
2013年1月15日

15日、防衛大臣・小野寺五典は記者会見で、もし中国機が尖閣諸島(中国名は釣魚島)周辺の領空に侵入したならば、「我が国は国際的な基準に基づいて正確な対応を実施する」と表明した。小野寺はもし相手方が無線による警告などを無視して領空侵犯を続ければ、信号弾を発射して警告することになろうと表明した。

なんと「信号弾を発射して警告する」と小野寺防衛相が言ったことにされているのだ。日本語版の本文にはそんなこと一切書いていない。朝日新聞中国語版の翻訳スタッフが日本語版の煽りタイトルに騙されて誤訳したのだろうが、チェッカーはいなかったのだろうか。

ちなみに現在では記事は次のように修正されている。

20130117_写真_中国_日中関係_尖閣諸島_

防衛相:国際的な規則に準拠して領空侵犯機に対応する
2013年1月15日

15日、防衛大臣・小野寺五典は記者会見で、もし中国機が尖閣諸島(中国名は釣魚島)周辺の領空に侵入したならば、「我が国は国際的な基準に基づいて正確な対応を実施する」と表明した。この表明はもし相手方が無線による警告などを無視して領空侵犯を続ければ、信号弾を発射して警告することを意味する。


■記事をこっそり修正するのはいかんでしょ

というわけで、大臣の発言ではなく、朝日の解釈によると……と記事を書き換えている。間違いをただすことはいいのだが、問題は記事のどこにも修正した旨を書いていない点。こんなこっそり修正すると、ボクのようなおばかさんが「朝日は誤報していないよ。みんなが読み間違えただけだよ」などと誤解してしまい、さらに事態をカオスにしてしまう。

朝日の煽り記事を中国に伝えた第一報と見られる環球時報の記事「日媒:日防相表态将对中国飞机进行警告射击」(日本メディア:日本防衛相、中国機に警告射撃を実施すると表明)も、小野寺防衛相が「警告射撃」と発言したかのように誤解しているが、朝日新聞日本語版を独自に誤訳したのか、それとも朝日新聞中国語版をあんちょこに使ったがゆえの間違いだったのかは定かではない。

というわけで小野寺防衛相はきわめて抑制的かつ冷静に回答したのに、朝日の煽りタイトルと朝日中国版のスーパー誤訳で大変な騒動となってしまった今回の一件。人民網が「釣られたッス」と火消し記事を出しているが、元記事を読んだ読者の多くが「日本の防衛相、超好戦的。安倍、マジやべぇ」と思ったままでいることは間違いない。まあデマ記事のほうが火消し記事よりも面白く、広まるスピードも速いので仕方がないのだが……。

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