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旧正月の民族大移動・春運、2013年の切符争奪戦はハイテク風味に

2013年01月20日

毎年旧正月前になる盛り上がるのが帰省の民族大移動「春運」の話題だ。2013年の春運ニュース、最初の大ネタは「切符購入支援ソフトウェアの配布中止を政府が通達」というお話である。


■春運

毎年、旧正月の前後40日間は旧正月の特別輸送機関に指定されており、鉄道やバスも特別ダイヤが組まれる。今年の旧正月は2月10日で、正式な春運は1月26日にスタートするが、早くも帰省する人、切符確保に奔走する人などなどバトルが始まっている。

バトルとはまた大げさなと思われるかも知れないが、これまた半端ないのである。帰省の切符を買うために70時間ほど窓口に並んだ出稼ぎ農民、鈍行列車で30時間たちっぱなしで帰省する学生、数千人がバイクで群れをなして帰省する鉄騎軍団など、日本人にはなかなか理解できないほど大変な話がごろごろしている。

で、帰省するにあたり飛行機ほど高くないけどバスほどつらくないという点で、一番愛されているのが鉄道だ。だがそれだけに切符確保は至難の業。単純に利用者の数が多いだけではなく、大量に切符を抑えてしまうダフ屋やら、偽造切符を販売するダフ屋以下の詐欺やらさまざまなトラップが存在するのもやっかいである。


■ネット時代に突入した2012年の春運

この春運切符獲得バトルで、昨年ちょっとした変化があった。中国鉄道部がネット予約を始めたのである。ちなみに電話でも予約が可能なのでPCが使えない人でも安心という触れ込み。

もちろん予約を始めたからといって席が増えるわけではないので切符がとりやすくなるわけではない。が、寒空の下、窓口前で行列を作るよりも暖かい家の中でF5キーを連打してサイトに接続するのを待ったり、みんなで携帯電話のリダイヤルを連打する方がいくらか幸せかも知れない。ただしネットで予約しても発券のために窓口で並ぶ必要もあったりするのだが……。

コンサートチケット発売のようなシステム。人気歌手のチケット争奪戦といったところか。で、こういうシステムが導入されるとすぐに抜け道を捜す人が登場する。昨年、話題となったのは切符予約ツール。電話を超高速でリダイヤルするツールや、あるいはサイトにつながるまで自動的にブラウザの画面更新を繰り返すソフトが裏で出回っていたという。


■2013年の春運

やたらと前置きが長くなってしまったが、ここでようやく今年の春運の話題に。去年は闇市場のアイテムだった切符予約ツールが、今年は一般庶民に普及することになった。それもタダで!

まず話題となったのはソフトウェアメーカー・キングソフト。同社製のブラウザー・猟豹(チーター、クロニウムをベースに改造したもの)の拡張機能に切符予約ツールをリリースしたのだ。だが実はキングソフト以外にも360、捜狗など各社も同様のソフトウェアをリリースしている。

20130119_写真_中国_春運_
*画像は360社の拡張機能ダウンロードサイト

去年はダフ屋など専門家しかもっていなかったツールを、今年はネットを使える人は全員装備して戦うというハイテク戦争時代に突入した。

これに困ったのが中国鉄道部。切符予約サイトは膨大な量のアクセス数をさばくのに四苦八苦しているのに、みながハイテク装備で激しくアクセスを繰り返すとあってはたまったものではない。17日夜に中国鉄道部はキングソフトに拡張機能の公開停止を要請。18日夜にはIT企業を統括する中国工業情報化部が各社に切符予約ツールの公開停止を通達した。


■議論は続くけど解決策はない

これを受け、ネットでは侃々諤々の議論が展開されている。販売開始から20秒で切符が売りきれるようなクレージーな状況はおかしい、PCが詳しくない人は鉄道に乗れないのかという政府の禁止令を指示する意見もあれば、切符予約支援ツールはたんなる道具でありそれで不公平になるというのはおかしいという意見も。

上述したとおり、ネット&電話予約制度を導入した中国の切符販売システムは、日本のコンサートチケット販売とよく似ている。で日本人もひたすら地道に電話やネットでチャレンジし買えなかったと肩を落としているところからみると、解決策は見つかっていない。日本と中国で違うのはF5連打を代行してくれるような支援ツールが大々的には出回っていないことぐらいだろうか。

まあどんなふうに考えても鉄道の輸送能力が根本的に不足しているという現実は変わらない。解決策としては地域別に旧正月の日にちをずらすとかぐらいだろうが、中国国民に納得してもらうのは大変そうだ。

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