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日本の拉麺って「拉」してないから拉麺じゃなくね?中国ネット民が語る日中拉麺の違い(百元)

2013年01月21日

■中国人「そろそろ日本のラーメンと中国の拉面の違いをハッキリさせようじゃないか」■


■日本式拉麺を中国人はどう思っているのか?

ありがたいことに以前、「日本のラーメンに関して何か反応があれば紹介してください」という質問をいただいていたのですが、つい後回しになってしまっていました。思い立ったが何とやらで今回はそれに関してやらせていただきます。

なんだかんだでここしばらくの間で、中国では日本のラーメン「日式拉面」の人気がかなり広まったというか定着しつつあるように思えます。「味千」などの日本系ラーメンのチェーン店がかなり広まっていますし、日本に来た中国の方でラーメンにハマる方もかなり多いそうです。

しかしご存じの通り中国には様々な種類の麺料理がありますし、日本のラーメンとは別に中国には「拉面」(lamian)という日本のラーメンの発音に近い手のべ麺も存在します。そして、そこに日本のラーメンが「日式拉面」として入ってきたので、ちょっと混乱したりもするようです。

そんな訳で今回は中国のネットで見かけたその辺に関するやり取りを、例によって私のイイカゲンな訳で紹介させていただきます。


■中国ネット民の激論

そろそろ日本のラーメンと中国の拉面の違いをハッキリさせようじゃないか。ウチの国に元からある「拉面」と、日本のラーメンの違いは何か、どちらが美味いのかを!

日本のラーメンの特徴って、麺を手でのばさないんだよね。あとスープにイロイロな種類がある。ウチの国の拉面も具でバリエーションがついたりするが、スープが極端に変わることは無いよな。

味に関しては好みとしか言いようがないだろ……料理は材料や値段に料理人の腕と言った条件まで加わる。そもそも、この手の話は中華料理の各地方の特色料理でさえ決着がつかないんだからさぁ。

日本のラーメンって全般的にウチの国の拉面よりも高級って感じはするね。麺やスープもそうだし、具も。あ、でも薬味はウチの国より少ないかな?

日本のラーメンの人気が高いのは知っているけど、俺の口には合わなかったわ。正直、俺のいる広州だったらその辺の店のおっさんの作った麺とかの方がよほどウマイ。日本のラーメンは見た目が良いから売り易いってのもあるんじゃないの?

日本の拉面の麺って切って作る麺でしょ。日本の連中は「拉」の字の意味すら知らないのか。アホじゃね?
(訳注:中国語では漢字の「拉」に「引く、引っ張る」という意味があります。引っ張って伸ばすのが拉麺であり、包丁で切るのは切面。なので日本の拉麺は語義矛盾ではないかという疑問を持つ人も)

どこで見たか忘れたが確か日本のラーメンの麺って機械で作ってるんじゃなかったっけ?日本は手で麺をのばす料理できないのかと。

まぁ確かに日本のラーメンは麺以外の部分はスゴイと思うよ。スープや具とかはウチの国の拉面に比べて上をいっているかもしれない。でも、手でのばすからこその拉面だし、美味しさもあるわけで。そこに関してはウチの国の拉面の圧倒的な勝利。

ラーメンって元々日本では「支那そば」「中華そば」って言う名前で普及していて、その後ラーメンと呼ばれるようになったんじゃなかったっけ?名前よりも先に中華系の流れの麺料理の現物があったんじゃないか?あと、ラーメンはどうだかしらないがソバやうどんは普通に手で作ってる店が少なくないぞ。

どっちにしろ日本のラーメンって手でのばして作る麺じゃないんだし、名前からしておかしいよな。スープはうまいけど。漢字の意味が分からないなら湯(スープ)の麺とかにしとけってんだ。

あー、なんていうか、日本のラーメンの種類の中には一応「湯麺」(タンメン)ってのがあるんだわ……ややこしいことに。ラーメンってかなり種類が多いのも特徴だよね。

現在は便宜上、音が似ているから「拉面」と表記されることが多くなっているらしいけど、日本ではラーメンにどの漢字をあてるかは一定していないらしいぞ。それに昔は「老面」「柳面」という漢字表記になっていたそうだ。あと一応、中には手で引っ張って麺を作るやり方のラーメンもあるにはあるらしい。

しかし日本のラーメンも不思議な料理だよな。日本では一応中華系の流れの料理だとは認識されているらしいけど、ウチの国のどの地方のどの麺料理の流れにあるかはハッキリしないらしいし。

とりあえず、日本のラーメンの特徴としては・麺はウチの国の拉面のように手でのばすのではなく機械で作ることが多いが、専門店では手作りもある。作り方は店ごと、地域ごとに違ったりする。ただ共通した特徴として縮れていてかみごたえがある。・スープは基本的にウチの国の拉面よりも濃厚。スープは色んな骨などを長時間煮て作る。ラーメンの専門店はそれぞれが特色のあるスープを売り物にしている。また専門店ほどではない普通の店は濃縮スープを使って調理していることが多い。って所かね。

蘭州拉面等では基本的に麺の太さや感触が重要だとされるが日本のラーメンはスープが重要だとされている。名前が似ているから混同されることもあるが、本質的に考えて、ウチの国の拉面と日本のラーメンは別モノと考えるべきなんだろうね。

Lanzhou Soup Noodles
Lanzhou Soup Noodles / Charles Haynes


日本のラーメンって麺はそこまで特別って感じはしないんだが、スープの濃厚さが違うよね。ウチの国のスープみたいに薬味を大量に使うわけでもないし、根本的な調理方法の違いを感じる。

いや、麺に関してもかなり違うよ。小麦粉の他に「かん水」というアルカリ塩水溶液を加えて作るのが日本のラーメンの特徴。あれで黄色の色とかみごたえのある面を作る。一説によれば、モンゴルの湖の水で作られた麺において発見され、現在のラーメンの麺に至るらしい。でも、ウチの国も一応数百年前からアルカリ塩水溶液を使った麺はあるから、この伝説については疑問が残る。まぁとりあえず、日本のラーメンの麺は弾力が強くて縮れているのが特徴なのは間違いないね。日本人は麺のかみごたえを非常に重視するので、中国の拉面を初めて食べたとき弾力の無さにガッカリするらしい

日本のラーメンがどうこう言い出したら、ウチの国に普及しているインスタントラーメン全部を考えなければならなくなるぞ。あれは日本のラーメンの流れから発明された食品だ。あれも拉面の呼び名で普及しているから余計に混乱する。

しかし日本のラーメンの濃いスープはどうも好きになれないんだよな。食ってから水をがぶ飲みしてようやく落ち着く。あれは俺の好みじゃないわ……あと日本のラーメンにのってるチャーシューやナルト、特に半熟の卵が受け入れられないわ。

俺も日本のラーメンはダメだ。現在はかなりの都市に味千ラーメンとかの日本のラーメン系の店が出ているけど、なんであんなに多くの人間が行くのか理解できない。これは俺に問題が有るのか?俺は普通に蘭州拉面とかを食う方が好きなだけなんだが……

味千拉面
味千拉面 / livepine


味に関しては純粋に好みの問題だから気にする必要はないよ。あと味千は店が小奇麗だってのも人気の理由だろうな。女の子連れて拉面食いにいくのはアレだけど、味千に入るならなんとなくセーフという感じになっているし。

日本のラーメンの特徴ってスープだよね。これが合わないならしょうがないと思う。あとこれは私も知って驚いたんだが、日本のラーメンで一番コストのかかるのがスープで、材料も豚や鳥の骨、コンブ以外にもイロイロとあるらしい。そしてスープををうまく作れるかが非常に重要であり、専門店はこれを重要な秘密にしているそうだ。

ウチの国の拉面はスープに手をかける意識はほとんど無いと思う。特に化学調味料が一般化してからは余計に似たような味になってきたような。

俺は蘭州拉面で育った人間だが、日本のラーメンが別格のウマさなのは認める。でも安さと手軽さを含めればやはり蘭州拉面の方が良いな。

日本に来てラーメンがいっぱい食えて幸せな自分だが、一つだけ認められないことがある。日本の中華は担担麺まで日本のラーメン化しているんだ!ありゃあ日本のラーメンのスープで食うもんじゃないんだよ!!
(注:中国ではいわゆる「汁なし担々麺」が一般的。汁があったら担々麺じゃないと憤る人も)

担担面 Dan Dan Noodles - Yi Fang Dumplings
担担面 Dan Dan Noodles - Yi Fang Dumplings / avlxyz


こういうどっちが美味いかみたいな話が出るのって、名前の問題もあるんじゃないか?正直、「日式拉面」に関してはせめて字だけでも呼び方を分けた方がいいんじゃないかと思ったり。あれ、別の食い物だと認識しておけばもっと落ち着いて楽しんで味わえるんじゃないかと。


まぁ蘭州拉面にしてもブランドの総称みたいになって各地で違いが出て来るようになってるし、今ここで発言している人間の考えている味が共通したものとは限らないから、日本のラーメンと比べてどうこうというのは難しいかもしれないな。蘭州出身のヤツも、蘭州拉面の特徴についてキッチリとは答えられなかったりするし。

ウチの国の拉面って最近はチェーン店化して小規模店が無くなり、チェーン店化した所はどんどん迷走して味が落ちているからな……日本のラーメンに市場を奪われるのもしょうがないかとも思ってしまう。

ウチの国はチェーン店化するとどこも味落ちるからね。セントラルキッチン方式でもないし、調理法の伝授とかきちんとしていないし。

そうそう。ウチの国の料理店って、複数店舗化したりチェーン店化すると大体はメインの料理人が本店以外の店まで手掛けて手が回りきらなくなって結局全体的に味が落ちるんだよね。あと買収ででっかい企業の傘下に入ると仕事頑張っても頑張らなくても収入そんなに変わらなくなるから、どんどん手を抜き出すんだよな。

いや、実際最近の商業競争のせいでウチの国の拉面事情は何気にヤバイことになっていると思うよ。悪貨が良貨を駆逐するのを目の当たりにしているような気もする。材料的に昔より良いモノが出せるはずなのに、値段だけ上がって味が落ちるか消えるかしているのはどういうことだ……

日本のラーメン専門店の全身全霊をかけて秘伝のスープを作り店を出して盛り上げ、維持していく態度は評価するべきだと思う。料理としてどっちが上かは分からんが、ウチの国の拉面を出す店が日本のラーメン店と比べて味が落ち易いってのは認めざるを得ない。

昔美味しいから通った店もオーナーが変わってあっさりと味が落ちたり、2号店が出て味が落ちてそのうち潰れたりしているからな……

とまぁ、こんな感じで。


■同じ漢字だからややこしい

中国には既に拉面が一般的な麺料理としてある所に、「日式」という字はついているものの「拉面」という名前で日本のラーメンが入っていることから、元からある「拉面」とごっちゃになって混乱したりするようです。

ちなみに、上の方で何度か出て来る「蘭州拉面」ですが、中国ではやや珍しいコシのある麺を使うので比較的日本のラーメンに近いと言われています。しかしこれもあくまで「近い」であって日本で日常的に食べられているラーメンとは違う味のものです。

それでなくとも中国はイロイロな料理があるわけですし、「麺」ということで大まかなカテゴリ的には同じになってしまう上に中国で一般的な麺類ともイロイロと似ているような所もあるので、こんがらがったり、似たようなもんだと思い込んだりしてしまうような所も出て来るのかもしれませんね。

とりあえず、こんな所で。例によってツッコミ&情報提供お待ちしております。

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*本記事はブログ「「日中文化交流」と書いてオタ活動と読む」の2013年1月8日付記事を、許可を得て転載したものです。

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