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江沢民が自ら序列格下げを願い出た理由=失意の胡錦濤に追い打ちをかける“殺し屋”っぷりがすごい(水彩画)

2013年01月23日

■江沢民の序列が大幅に下がる■


■江沢民は2位から3位へ=十八大直後の序列

「また序列ネタか」という声を無視して中国のエラいさん最新序列と江沢民について取り上げます。

昨年11月に第18回党大会が開催され、習近平、李克強以外の第17期常務委員が引退し、新しく5人が常務委員に昇格したのは、皆さん既にご存知だと思います。第18回党大会直前の序列は以下の通りです。

胡錦濤、江沢民、呉邦国、温家宝、賈慶林、李長春、習近平、李克強、賀国強、周永康

江沢民は2004年に中央軍事委員会主席から退いてから、これまで序列第二位のままで来ていました。

それが習近平総書記の誕生により次のように変化します。
胡錦濤、習近平、江沢民、呉邦国、温家宝、賈慶林、李克強、張徳江、兪正声、劉雲山、王岐山、張高麗

ちなみにこの序列が判明したのは元共産党高官での葬儀でのこと(「丁光訓の遺体、南京で火葬」新華社 2012/11/27)。官制メディアが報じた名前の順番で序列が判明するのです。江沢民が暫定第三位となっています。

なお、引退した17期常務委員の内、党内の職務からも退いた李長春(中央精神文明建設委員会書記、劉雲山)、賀国強(中央紀律検査委員会書記、王岐山)、周永康(中央政法委員会書記、孟建柱)はがくっと順位を落として政治局委員他扱いとなったわけです。

注目は江沢民、胡錦濤、習近平の3人の総書記経験者の序列でしたが、胡錦濤が第1位、現役総書記の習近平さんが第2位、そして引退して10年になる江沢民がその後となりました。引退状態の胡錦濤が1位、しかも「主席」と呼ばれているのはまだ国家主席のポストにあるためです。どうせ3月になればやめることは決まっているので、党大会の直後に両会をやれば無駄なレームダック期間がなくなると思うのですが。


■江沢民が3位から12位に=2013年1月の新序列

さて、旧正月前の慌しいこの時期に楊白氷がお亡くなりになりました。楊白氷は六四天安門事件で鄧小平の名代として解放軍を掌握した楊尚昆の弟で、軍部に手下を送り込もうとしたため鄧小平に嫌われ軍から追放されています。


21日に葬儀が行われたのですが、ここで共産党中央の新たな序列が判明しています(「楊白氷同志の遺体、北京で火葬」新華社 2013/1/22)。

楊白氷同志が重い病に伏せっていた間、また逝去した後、胡錦濤、習近平、呉邦国、温家宝、賈慶林、李克強、張徳江、兪正声、劉雲山、王岐山、張高麗、江沢民ら同志が、病院へ見舞い、また各種方法で楊白氷同志の逝去に対し深い哀悼の意を表し、遺族を慰めた。


江沢民の序列が従来の3位から、一気に現役常務委員の後にまで後退しています。江沢民は胡錦濤、現常務委員と共に花を贈ったことが映像からも分かりますし、見出しに持ってきているメディアもありますが、そうやって持ち上げると余計に後退が目立ちます。

ちなみに細かい話ですが、これが序列12位なのか、序列には入っていないその他大勢扱いなのに名前は載せてもらえるという特殊な立場なのかは今後要注意かと。


■健在すぎる江沢民、胡錦濤にトドメを刺す

この江沢民の序列格下げにはどのような狙いがあるのでしょうか。21日付多維網が江沢民自らが格下げを願う書簡が送ったとの情報を報じましたが、23日付新華社がそのことを認めるショートニュースを流しています。

記者が関係方面から得た情報によると、中国共産党第18回党大会後、江沢民同志は今後は”党と国家の指導者”の礼賓序列において、自分を他の同志たちと同じように扱って欲しいと願い出た。これは一人の共産党人の共産党員の高尚な人徳と懐の広さを体現したものである。

このように江沢民の意図を説明してくるとは珍しいのではないでしょうか。ただ自分がオペラ好きだからといって国家大劇場を作らせ、さらにはそこで自慢の歌声を披露するといった目立ちたがり屋の江沢民に「高尚な人徳と懐の広さを体現」というのはお笑いぐさですが。

閑話休題。江沢民が潔く政治引退を決意した……などということはなかなか考えづらいこと。どう考えても胡錦濤殺しの嫌がらせでしょう。この10年、江沢民は胡錦濤に続く序列2位をキープしてきました。胡錦濤が3月に国家主席を退いた後、どちらかが2位でどちらかが3位になるはずだったわけですが、今回の序列格下げ願いで自分からそのバトルを下りたわけです。

もちろん胡錦濤も序列格下げを願いでるようプレッシャーがかかったわけです。実際、江沢民爺さんが格下げしたのに自分だけ2位になることはできないのではないでしょうか。

ちょっと前までは「十八大人事で胡錦濤圧勝」と言われていたのが、江沢民を筆頭としたじじい軍団の力で粉砕されてしまい、メディアも今まで「太子党」とか書いていたところを「江沢民派」と書くところが増えるなど最近の江沢民の活躍ぶりには目を見張るものが。そしてここにきて序列まで奪いにかかるという殺し屋ぶり。江沢民恐るべし、です。

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*本記事はブログ「中国という隣人」の2013年1月22日付記事を許可を得て転載したものです。

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